住宅着工件数、年率換算で久々の80万戸割れ(2020年6月)

6月の新設住宅着工件数は前年比12.8%減の71,101戸で、季節調整済年率換算では79 万戸と10年ぶりに80 万戸を下回る水準となりました(昨年は90.5万戸)。

これで住宅着工件数は前年同月比12ヶ月連続の減少となり、特に今年に入っては3月(7.6%減)を除き2ケタの大幅減が続いています。

時系列

着工の先行指標となる住宅メーカー・アパート建築大手の受注は、前年比大きなマイナスで推移しており、7月以降も厳しい結果が続くでしょう。

テキスト

住宅業界は2019年後半からの消費税増税、今年は新型コロナによる雇用・所得環境の悪化と逆風がやみません。

利用関係別では、持家が23,650戸(16.7%減)貸家 26,666戸(13.0%減)とそれぞれ11ヶ月、 22か月連続減少です。

住宅着工持家

◆近畿は比較的落ち込みが少ない

近畿の2020年6月新設住宅着工戸数は、前年同月比▲3%の10,982戸でした。新型コロナ禍で着工減少のエリアが多い中、持家は大幅減少も貸家が少しプラスに転じ分譲住宅(一戸建て+マンション)も0.9%減にとどまっています。

前月に前年同月比倍増した分譲マンションは、反動減もなく前年並みの着工件数を維持しています。実需のファミリー型には底堅い需要があるようです。

本来なら今頃は東京五輪で大盛り上がりになるはずだったのに、新型コロナに翻弄され経済指標もひどい落ち込みをしています。7月22日公表の月例経済報告(月次)での住宅景況判断指数(受注戸数)です。

これだけ雇用や所得環境が悪化すれば、消費マインド回復には時間がかかるかもしれません(コロナ次第ですが)。






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アフターコロナのマンション市場は実需堅調、投資用減速(近畿6月)

新築マンション市場6月(近畿圏)は、ワンルーム・都市型コンパクト物件の供給減により発売数6.2%減(前年同月比)となるも、ファミリー向け(2~4LDK)が同12%増の急回復で4~5月の壊滅的な状況から立ち直ってきています。

アフターコロナのマンション市場の幕開けは、ファミリー向けが契約率71.4%と堅調だったのに対し、投資用(ワンルームやコンパクト型)は発売数28%減、契約率60%台に落ち込み、明暗がわかれた格好です。

近畿圏6月の中古マンション(40㎡~80㎡)成約数も回復傾向が顕著で、マンション市場は新築・中古ともコロナ禍の混乱から落ち着きを取り戻してきました。

新築中古成約数

(新築マンションの成約数には当月の契約戸数すべてを含みます)。

近畿圏のファミリー向け新築分譲マンション発売数と初月契約率の推移。6月は発売数前年超えで初月契約率もV字回復の様相です。

4月5月に消えた需要が6月以降に繰り延べされて顕在化していくというパターンになればいのですが。

大阪市内と神戸市内の3LDKタイプが好調販売

6月で目立ったのは大阪市内と神戸市内の3LDKタイプの売れ行きの好調さで、特に神戸市内の物件は発売196戸中179戸契約と初月契約率91%超の驚異的な売れ行きとなっています。

所在地円グラフ

発売初月に契約出来た戸数の推移。今年初めて前年同月の契約戸数を上回りました。

契約戸数

6月の価格帯別発売数と契約率。3000万円以下の1Rなどが減り、3000万円台の低価格帯物件が好調でした。

価格帯別6月

近畿圏6月の指標(1R、都市型コンパクト含む)。

・発売戸数   1,407戸(前年同月比6.2%減)
・契約率    70.4%(前年同月比2.9ポイントダウン)
・1戸当り価格  3,608万円(前年同月比7.3%アップ)
・1㎡当り単価  64万円(前年同月比2%ダウン)

◆近畿圏2020年上半期の発売数は29.5%減

近畿圏の2020年1~6月累計では発売戸数5,299戸(前年比29.5%減)、契約戸数3,734戸(同32.8%減)と首都圏ほどではないもののかなり落ち込みました。

2020年上半期の価格帯別発売戸数と契約率。

価格帯別累計

2020年は投資用低額物件の発売が減っていること、高価格帯が意外によく売れていることが目につきます。

新型コロナ対策の金融緩和で、株式市場は活況です。不動産市場にも富裕層による億ション購入があるような気がします。






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役員報酬最高額は、住友不動産元会長ー2020年3月期

東京商工リサーチから2020年3月期「役員報酬ランキング」が発表されています(7月8日現在)。
これは各社が提出する2020年3月期の有価証券報告書に記載される、役員報酬1億円以上の個別開示情報をもとにしたものです。

役員報酬(1億円以上)の開示は、有価証券報告書に(基本報酬・ストックオプション・賞与・退職慰労金など区分して)記載することが義務付けられており、日産ゴーン事件での逮捕はこの有価証券報告書虚偽記載(役員報酬の過少申告)容疑によるものでした。

そのランキング表によると役員報酬最高額は、住友不動産の高島元会長(22億5900万円)となっています。ランキング上位常連はグローバル企業の外国人経営者たちですが、それ以外で報酬額10億円以上と開示されたのは次の3人です。

報酬上位テキスト

高島元会長は、代表取締役会長だった昨年9月逝去され同時に取締役を退任されましたが、オフィスビル事業を住友不動産の収益の柱に育てられたことで、いわば終身会長?とでもいうような立場だった方です。

この住友不動産は戦後に誕生した、大阪を地盤とするローカル不動産会社で財閥系ながらマイナーな存在でした。しかし、オイルショック後東京に進出し積極果敢な都心オフィスビル集中投資で、三菱地所や三井不動産と肩を並べる大手不動産会社に大躍進させたのは、住友銀行出身の安藤太郎氏と高島元会長のコンビだと言われています。

市況に左右される不動産販売などと違い、安定したオフィスビル事業(不動産賃貸)が会社の大黒柱として確立されたのは大きいです。2020年3月期は営業利益の大半が不動産賃貸セグメントのもので、賃貸セグメントの売上高営業利益率は42.7%と圧倒的です。

円グラフ

ただ今回の報酬額は退職慰労金にしてはあまりにも高額なので、住友不動産2020年3月期有価証券報告書を見ると、総額22億5900万円は、基本報酬6,500万円のほか退職時報酬21億9,400万からなっており、退職時報酬は過年度において支給を留保されていた報酬分と記載されていました。

役員報酬は一般的に株主総会で総額のみ決めますが、住友不動産では当期に支給されるのはその内の5割前後と説明されています。残りは支払いを留保し、退任後の退職金や相談役・顧問などとしての給与として支給されるようです。

上記の取締役の報酬額は、当期に全額が各取締役へ支給される訳ではなく、全体の5割前後が支給されます。
それ以外は、取締役が退任したときの退職金、将来業績悪化による
取締役報酬の減少補填、退任後に相談役や顧問等に就く者に支給する給与などへの備えとして、支払いを留保しております。
この留保した部分については、支給時期および取締役ごとの受取り額が決められませんので、将来支給された時点または支給されることが確定した時点で、役員ごとの報酬等の算定の対象になります。(同社有価証券報告書)

開示された住友不動産の社長の役員報酬は、同業三井不動産のそれ(2億3千万円)に比べ半分程度ですが、実際には約5割の支給が留保されているなら、実質的にはほぼ同額ということになるのでしょう。

不動産会社として他社とは一線を画す質実剛健そのものの企業風土は、元会長(「武田節」を好まれ、それで出陣式や飲み会で歌われるようになった?)なきあと変わっていくのか興味ぶかいです。






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