近畿8月マンション市場、投資用は破竹の勢い実需は減速

近畿圏新築マンション市場8月は、新型コロナ禍で発売先送りになっていたワンルーム系が大量発売され市場を席捲、都市型コンパクト型と合わせ発売した742戸は、発売初月契約率94.7%というバカ売れでした(不動産経済研究所データから)。

一方、2~4LDK(実需向け)は875戸発売で契約率64.2%と、投資用とは30ポイント以上の差がつく対照的な結果でしたが、全体としては、コロナ禍の混乱からマンション市場は落ち着きを取り戻したと感じる結果です。

下図は8月度のタイプ別発売数割合グラフで、ワンルーム・コンパクト型が全体の半分近くを占めるやや特異(普通2~3割程度)な状況となっています。

円グラフ

ワンルーム・コンパクト型では、今まであまり供給のなかった(はず)京都市内の物件が発売され人気でした。インバウンドバブルが弾けた京都はホテル建設大ブームから、事業用地に投資用マンション建設という流れに変わってきているのでしょう。
ただマンション市場のデータとしては、実需向けと投資用はデベロッパーも顧客も全く別物なので分ける必要があると思います(規制の厳しい首都圏はこれほどワンルームを供給できない)。

ワンルームやコンパクト型を除外した、マンション発売数と初月契約率の推移。4月5月に発売を見送られた物件が秋以降発売になるかどうか注目です。

ファミリー向けグラフ

価格帯別の売れ行き状況。8月は(3000万台以下は別にして)どの価格帯もほぼ同じ位の契約率です。

価格帯別

8月発売物件の発売月に契約出来た戸数(ワンルーム系除く)。5月の落ち込みが大きいものの徐々に回復傾向にあります。案外新型コロナ禍は、不動産購入にとっては良いきっかけとなっているのかもしれません。

契約戸数

首都圏もやや立ち直り傾向か

価格が高止まりして低調だった首都圏マンション市場もようやく持ち直し傾向になってきたようです。都心部より(価格の安い)郊外部の供給が増えれば、契約率も上がりそうな気配です。

首都圏近畿圏

近畿圏8月の指標。1R、都市型コンパクト含む平均値なので、あまり参考になりません。

・発売戸数   1,617戸(前年同月比20.6%増)
・契約率    78.2%(前年同月比6.7ポイントダウン)
・1戸当り価格  3,492万円(前年同月比14.3%アップ)
・1㎡当り単価  69.4万円(前年同月比6%アップ)

コロナ禍で実体経済はどん底でも、超金融緩和であり余ったお金が株式市場、高級車、不動産投資市場に流れ込むという状況はどう見ても危うさを孕んでいます。実需はともかく仮需は何時までも活況が続くとは思えません。






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収益マンション転売における消費税の税務処理巡る訴訟、国税側敗訴

転売目的で収益用中古マンション(入居者付き)を仕入れた後、転売するまで家賃収入を得ていた不動産業者の消費税税務処理を巡る訴訟で、国税局敗訴の判決がありました(9月3日)。

消費税では、「仕入税額控除」という制度があり、買取転売業者が収益マンションを転売する時に受け取った消費税から、当該マンション仕入れ時に支払った消費税を差し引いて納税することができます。今回の訴訟では仕入れ時に支払った消費税全額が還付(控除)されるのかどうかが争点となっていました。

上記訴訟に係る取引では、一棟収益マンション転売という仕入税額控除ができる課税売上住居用家賃収入という仕入税額控除不可の「非課税売上」とが混在するため、国税局は全額控除処理にノー(報道では3割程度の控除認める)と言っていた訳です。

訴訟イメージ図

消費税テキスト

一棟収益マンション売買は消費税額が巨額になるだけに、業者にとって(仕入れ時に)支払った消費税全額が仕入税額控除(還付)されるのか、その一部しか還付対象とならないのかは経営上極めて大きな問題となります。

今回東京地裁は、「仕入れの目的は建物の転売であって、家賃収入は副次的なものにすぎない」など(日経新聞)とする、不動産業者エー・ディー・ワークス社の主張を認め同社への課税処分(3期分約5億3千万円)を取り消す判決を言い渡したのです。

判決で清水裁判長は
「仕入れの目的が不動産の売却にあることは明らか。賃料収入は不可避的に生じる副産物として位置づけられる」と指摘。賃料収入が見込まれるからといって全額を差し引けないとする国税の判断は「相当性を欠く」と結論づけた。(日経新聞)

非課税売り上げとなる家賃収入があるなか、判決では「転売目的で仕入れたのなら賃料収入は不可避的に生ずる副産物的なもの」として、エー・ディー・ワークス社が仕入れ時に支払った消費税全額が還付(控除)されるべきだとしています。

しかし、物件によっては転売までの間の家賃収入は無視できない額になるしマンション転売業で、賃料は大きな意味を持ち決して副産物的な位置づけのものとは言えません。当然マンション仕入れ時の事業計画にも相当大きな影響を与えているものだと思います。

今回、エー・ディー・ワークス社の訴訟代理人を務めたのは森・濱田松本法律事務所で、この勝訴は流石でした。ただ国税側が控訴した場合、高裁で逆転も十分あり得るので決着にはまだ時間がかりそうです。

なお、節税スキームの横行などで消費税法が改正され、居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度も適正化され、10月1日以降はこの問題はなくなることになります。






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新設住宅着工、7月も前年比11.4%減と厳しさ続く

7月の新設住宅着工戸数は13ヶ月連続減少となる前年比11.4%減の70,232戸、季節調整済年率換算値では82.8万戸となりました(2019年は90.5万戸)。

消費税増税での落ち込みと新型コロナのダブルパンチで、2020年の着工戸数は2009年リーマンショック時以来となる80万戸割れもあり得る状況です(7月までの実績468,352戸)。

着工戸数推移

新設住宅市場は所得環境悪化や融資厳格化などで、前年比2ケタの大幅減が続くなか先行指標となる、住宅メーカーやアパート建築大手などの受注速報からも回復の兆しが見えません。これでは8月9月での反転期待は難しく、10月~12月期に(コロナ次第で)立ち直りのきっかけがつかめるかどうかというような苦しい展開です。

前年比

利用関係別では、持家が前年同月比13.6%減と最も大きく減少しており、将来不安もありこの個人の住宅取得マインド回復には時間がかかりそうです。

月別

◆近畿は11,782戸(前月比+7.3%)

近畿の2020年7月新設住宅着工戸数は、前年同月比▲8.3%の11,782戸で前月比では+7.3%となっています。貸家が7月も堅調で5,000戸台になっており(前年同月比は▲5.3%)、分譲住宅ではマンション着工戸数が大幅増でした。実需向けマンション需要は底堅いので、着工先送りをせず販売長期化も見込んだうえで早めに商品化していくということでしょうか。

着工戸数テキスト

新型コロナでむしろ住宅に関する意識は強まっていて、新築販売や中古売買は平常ペースに戻りつつあるようです。ただ持家や貸家の着工は将来不安や融資厳格化で当面低水準で推移せざるを得ないでしょう。






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