住宅着工戸数は分譲住宅が大幅減少(近畿圏2月)

2021年2月度新設住宅着工戸数は、前年同月比3.7%減の60,764戸と20か月連続減少(市場予想中央値は4.8%減)、季節調整済み年率換算値では前月比0.8%増の80.8万戸となっています。

コロナ禍(と前年の消費税増税)で10年振りの低水準だった2020年を更に下廻る1月2月の出足となっていますが、持家がエンジンとなる回復トレンドに今のところ変化はありません。住宅販売市場にもフォローの風が吹いているので今後は分譲住宅着工増という流れになりそうです。

ただ今の所は鈍い動きです。

着工件数前年比

年別着工戸数推移。

年別件数

2月の件数で利用関係別は持家が4か月連続増で順調、貸家も前年比0.4%の微減に止まった一方で、分譲住宅のうち特に分譲マンション着工戸数が大幅減となった2月結果でした。ただ、全体的な印象ではコロナ禍をうけ持家=一戸建て需要(テレワーク拡大もあり)が底堅く推移しているように感じます。

なお、持家に関してはずっと減少が続いていたので、そろそろ底打ち反転の動きが期待できるかもしれません。ちなみに持家の建て方で「プレハブ造」の現場をすっかり見なくなった気がします。

◆近畿圏も分譲マンション着工大幅減少

近畿圏は、1月に大きく落ち込んだ貸家が一転V字回復したものの、首都圏同様分譲マンションが大幅減(▲37.5%)となったため、総戸数では6%減となりました(分譲住宅の着工、特にマンションは月単位ではブレが大きい)。

全国と近畿圏の2月実績。

貸家については建替え需要(賃借人の新築志向が強い)で、分譲マンションでは阪神間など郊外部やホテル建設が減る京都などで戸数増加が期待できるので、持家がこのまま順調なら昨年以上の新設件数になりそうな気がします。






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大阪ミナミの公示価格続落、一方で高値売買取引も

大阪圏の令和3年公示価格(1月1日:商業地)ではミナミが、下落率の大きい全国の商業地10地点のうち8地点を占めるという大幅下落となりました。

下落率上位5

全国一の下落率となった老舗ふぐ料理店ずぼらや跡地(敷地面積242㎡:約73.2坪)の公示価格は、平成27年(2015年)から5年間大きな上昇を続け、今年は一転して急落です。

価格推移

心斎橋筋を筆頭にミナミは、インバウンド特化型商業エリアともいえるので、新型コロナの収束まで地価低迷長期化は免れないところです。
同じくインバウンドでバブル状態だった京都は、ブランド力もあり日本人観光客の早期の戻りが期待できるので、ミナミほどのダメージはないでしょう。

下落率の大きかった心斎橋筋周辺図。

ミナミ地図

令和3年公示価格は(令和2年春に)新型コロナウィルス感染拡大というアクシデントがあったため、代表標準地(地価公示と地価調査の共通地点)による半期変動率(コロナ禍直後の年前半と後半)が参考になります。

半年間辺土率

前半は新型コロナ禍で下落し、後半はやや落ち着きを取り戻しています。ミナミに比べキタ(住友商事心斎橋ビル以外)は比較的安定しており、特に後半期は殆ど下落なしでした。

◆コロナ後を見据えた、ミナミの高値売買取引が増加

商業地で全国一の地価下落率を記録したミナミで、早くもコロナ終息後のインバウンド需要回復を見越した高値不動産売買事例がでています。
パルコが運営する商業ビル「道頓堀ZERO GATE」の土地売買と東急不動産の心斎橋筋低層商業ビル(テナントはサンドラッグ)売買の2件です。

売買地

(1)道頓堀ZERO GATEの底地・・・昨年12月売買
パチンコ・パチスロメーカーのサミー社が土地を売却(3月引渡完了)し、譲渡益約152億円を計上しました(セガサミーホールディングスニュースリリース)。

この土地は道頓堀5座の1つ浪花座跡地で、2001年に松竹がアーバンコーポレーションに55億8千万円(?)で売却したと記憶しています。サミー社が取得したのは(アーバン→SPC経由で)2003年頃のはずです(2003年の「ずぼらや」公示価格は坪約281万5千円)。

敷地面積はラフに見積もって1,400㎡ほど(誤差あり)なので、152億円の譲渡益を出すには少なくとも200億円を上回る取引価格でなければなりません。従って「ずぼらや跡」の令和3年公示価格(坪単価約1,900万円)の倍以上の価格で取引された可能性が大です。

(2)東急不動産の心斎橋筋低層商業ビル・・・今年3月売買
詳細は公表されていないものの、2015年12月に坪単価約5,000万円という破格の価格で取得し話題になった、「旧ヤマハ心斎橋店」跡の同社商業ビル取引で間違いないでしょう。

「一棟貸しコンパクト型商業ビル」の概要
・敷地面積約132坪、建物地上2階地下1階、店舗面積約300坪

ただすっかりドラッグストア商店街化した「心斎橋筋」商店街は、高い賃料負担力で高地価を支えていた肝心のドラッグストア苦戦となれば、収益性低下で地価下落に向かうのは当然の流れです。

東急のコンパクト型商業ビルテナント「サンドラッグ心斎橋中央店」も恐らくどん底状況と思われ、東急不動産にとって、このタイミングでの売却はプロジェクト収支的にやや厳しいものになったのではと思います。

取壊し前の旧ヤマハ心斎橋店。
旧ヤマハ

アパレルにとって代わったドラッグストアが凋落したら、心斎橋筋の路面店に次に入るのはどんな業種でしょうか。
 
参考
(セガサミーHD社:当社連結子会社における固定資産の譲渡および特別利益の計上に関するお知らせ) 

 






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新築マンション市場、戻ってきた需要で活況(近畿2月)

近畿圏新築マンション市場2月度は、発売戸数が前年同月比87.8%増の1,070戸、初月契約率が同12.2ポイントアップの71.7%と極めて好調な結果となりました(いずれもワンルーム~1LDK除く)。

コロナ禍で新築分譲マンション購入を延期していた繰延需要(ペントアップ・ディマンド)が顕在化、首都圏近畿圏共に発売戸数を伸ばしつつ契約率も上がる良い流れです。

首都圏近畿圏

近畿では大阪市と神戸市の物件が苦戦するなか、その周縁部となる大阪府と兵庫県及び京都市(京都府)のファミリー向け3LDKタイプが好調販売を続けています。

京都市はここ1~2年マンション供給不足で、まだまだ需要の方が大きいのは、インバウンド全盛時ホテルとの用地争奪戦で敗れ、2017~2018年の分譲マンション着工件数が激減した影響です。

地域別販売状況

異次元金融緩和で凄い「金余り」状況下、低金利が続きそうなことや資産価格上昇も見据え、マンション購入マインドが高まっているようです。

発売月契約戸数も7か月連続前年同月を上回っており、消費税増税後落ち込んでいた昨年の今頃とは様変わりです。

初月契約戸数

近畿2月の価格帯別発売数と契約率は、前年比ほぼ総ての価格帯で発売戸数と契約率が伸び、特に億ションがよく売れています。
なお3000万円以下の物件の85%近くは、投資用に販売されるワンルームマンション(1K)のものです。

価格帯別

◆2月もファミリー向け3LDKタイプ好調続く

間取りタイプ別の発売数と契約率。3LDKタイプは絶好調持続、特に最近まで供給が極端に少なかった京都市内の物件は、発売月(初月)契約率92%(46/50戸)と驚異的な売れ行きでした。

タイプ別

京都市以外も大阪府下、兵庫県下のファミリー向け物件の契約率は、それぞれ78.2%と76%と好調です。

ただ、3月は昨年が良かった分前年越えはかなり難しいかもしれません。

発売戸数と契約率推移""

近畿2月の指標。億ション供給増で1戸当り価格は上昇。

・発売戸数1,718戸(前年同月比66.0%増)
・契約率    78.5%(前年同月比3.2ポイントアップ)
・1戸当り価格  3,954万円(前年同月比17.3%アップ)
・1㎡当り単価  73.1万円(前年同月比8.9%アップ)

コロナ禍の終息はまだ見えないものの、ワクチン接種が話題になるようになり、来年にかけては出口が見えはじめるかもしれません。そうなれば「モノ」への需要だけでなく、旅行などの需要が爆発しそうです。


(参考:京都市の平成29年新設住宅着工動向)






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