昨年後半から右肩上がりだった近畿圏新築マンション市場は、年明け早々の緊急事態宣言でマインド悪化、前月の反動減もあり、1月度は極めて低調な結果となりました(不動産経済研究所)。
1月発売戸数は前年同月比13%増643戸、初月契約率は同1.4ポイントダウン64.2%でしたが、(発売数が)27年ぶりの大幅下落を記録した昨年比でこれは厳しいです(ワンルーム~1LDK除く)。
例年1月は発売数が少なく契約率も低めになるにしても、初月契約件数上昇トレンドが一気に失速しました。
ただ、明るい材料は外縁部ファミリー型タイプ(3LDK・3000万円台)の売れ行きが依然好調を維持していることです。
一般には新型コロナが意識されてなかった、昨年1月と今年1月の間取りタイプ別での販売状況(契約率)を比較してみると、この1年で売れ筋が一変しています。実需の3,4LDKが息を吹き返した感じです。
コロナ禍での生活を経験したことで、エンドユーザーの住まいに求める価値観に変化が起きているのは間違いないようです。「利便性」重視から「ゆとりや快適さ」重視という流れでしょうか。
土地綜合研究所の「不動産業業況等調査」結果でも、1月のモデルルーム来場者、成約件数指数が大きく下落しています。
新型コロナ禍以降、来場者数と成約数指数の相関が強まっています。この状況下でのモデルルーム来場者は、予め物件を絞り込んだホットな顧客が多く、契約「歩留まり」はかなり高くなっているのではと感じます(通常10~15%程度?)。
◆近畿の1月はワンルーム(狭小型)の発売なし
コロナ禍で実需系の需要はむしろ高まった反面、投資用ワンルーム・狭小コンパクト型は昨年相当減少しました。1月も発売戸数ほぼゼロで、相続税対策の都心タワーマンション投資は減らなくとも、コンパクト型投資用は今年もやや厳しそうです。
近畿圏1月の価格帯別の発売数と契約率です。
◆首都圏も一旦停滞
首都圏と近畿圏の契約率推移。首都圏は1月停滞も、周縁部物件増(1戸当り平均価格前年同月比30%ダウン!)などで回復基調に戻っていくでしょう。
近畿1月の指標。投資用コンパクトが殆どないので、1戸当り価格は上昇。
・契約率 61.2%(前年同月比5.6ポイントダウン)
・1戸当り価格 4,629万円(前年同月比7.8%アップ)
・1㎡当り単価 67.3万円(前年同月比7.0%アップ)
中古マンション市場も活況なので、3月以降は新築市場も活発になりそうです。