アフター・コロナの住居はマンションより「戸建て」が人気に

猛威をふるっていた新型コロナもようやくピークが過ぎ(第一波の)収束がみえてきました。重苦しかった日常生活にも、少しだけ明るさが戻りつつある気がします。

それでもこの3か月ほどのコロナ禍の生活体験は、今後コロナと共存するうえで簡単に忘れられるものではなく、生活様式や価値観に大きな影響をもたらすでしょう。

早速、不動産分野ではリモートワークも意識した(と思える)住宅選びへと変化がおきています。

共に東証一部上場企業で首都圏を地盤とする、都市型戸建て事業のオープンハウス社と分譲住宅事業のケイアイスター不動産社2社から5月販売実績に関するニュースリリースがありました。5月の成約実績で「戸建て」が新築及び仲介ともに前年同月比で大きく伸び、絶好調ともいえる販売状況になっているのに驚きました。

販売状況テキスト

アフター・コロナの住居選びでは、利便性重視のマンションに代わって、「戸建て」が人気というトレンドになっているということでしょう。

在宅テレワーク(リモート会議)や学校・塾のオンライン授業化の流れもあり、狭くとも書斎・個室が欲しいというニーズの強まりは、家でパソコンを使う頻度があがれば当然のことと思います。

4LDKで床面積100~110㎡位が普通の「戸建て」はマンション(3LDK・70㎡位が中心)より、部屋数が多い上、間取り変更などの自由度が高いことが大きいでしょう。
1階と2階に離れて距離がとれるのは仕事や勉強に都合がよいし、音に気をつかうマンションにはない強みです。

おそらく新築マンションが価格高騰から売れ行き不振、新規発売減の負のスパイラルに陥るなか、「質の良い戸建て住宅」志向は当面続くと思われます。

また、オープンハウス社からは、「コロナ禍を受けた住宅の意識調査」の調査結果も発表されています。

新型コロナウイルスの影響により、56.8%の人が戸建てへの魅力が高
まったと回答。「集合住宅」と比較すると上がり幅は2倍以上であり、
「戸建て」に魅力を感じている人が多いことがわかりました。
戸建ての魅力点としては、
1位:ライフスタイルに合わせて間取りを調節できるから(73.0%)
2位:隣人や上下階の騒音を気にせずに済むから(73.0%)
3位 自分の生活音を周りに気にせず住むから(72.0%)
が高くなっています。アフターコロナにおける戸建ての魅力ポイント
は、多様化するライフスタイルへの対応力がポイントになってきてい
ることがわかりました。(オープンハウス社)

家族の在宅時間が長くなることをきっかけとして、あるべき住まいの選び方ー住み心地(使用価値)重視の住居選びーに回帰していくのはいいことです。







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マンションモデルルーム来場者、コロナ禍で激減

三大都市圏などで不動産業を営む企業を対象とした土地総合研究所の「不動産業業況等調査結果」4月分が発表されました。3か月前の前回調査時点では想像もしなかった大幅経営状況悪化へ急変しており、急激に経済に打撃与えているコロナショックの恐ろしさを思い知らされます。

「不動産流通業」が3ヶ月後の経営見通しマイナス65.7ポイントと先行き真っ暗な見方をし、順風満帆だった「ビル賃貸業」は一転最悪も想定する厳しい見立てをしています。非常事態宣言もあった4~6月期はとんでもない指数になるのでしょう。

指数テキスト

「ビル賃貸業」で経営見通しが激変したのは、テレワークの定着によるオフィス需要減退よりも、国交省がテナント賃料支払い猶予や免除など支援要請という賃貸業の根幹にかかわるものへの徳政令的施策への警戒心からくるものかと思います。

「住宅・宅地分譲業」で目につくのは、新築マンション市場の先行指標であるモデルルーム来場者数と成約件数の指数急落が止まらないことです。モデルルーム来場者数は-62.5ポイントと前回調査(1月)から25.8ポイント下落し、成約件数は前回から24.1ポイント下落の-50ポイントとなりました。

指数グラフ

新築分譲市場は、昨年の消費税増税から立ち直れないなかで今回コロナショックに直撃されました。この調査後、緊急事態宣言が発令されて以降は営業自粛・モデルルーム閉鎖となっているので、4月5月の新築マンション販売は限りなくゼロに近い状況ではなかったのでしょうか。

将来不安も意識せざるを得ないなかで不動産購入マインドも冷えきってしまい、不動産販売(特に高価格帯や投資用)は今後相当低迷せざるを得ません。

◆コロナ禍で不動産バブルは終わり、価値観も変わる

地下鉄駅直結タワーマンションを首都圏投資家がこぞって購入したり、ミナミの商業地やホテル用地の異常な高騰など大阪の不動産バブルも、このコロナ禍で完全に終焉を迎えました。今回のコロナショックは世界同時に起こっており、インバウンドに傾斜していた大阪の回復は遅れそうで、中央区や北区でこれから竣工するハイエンドクラスのホテルなどは厳しい局面です。

緊急事態宣言が解除され、徐々に日常生活も平常に近づきつつありますが、コロナの第2波、第3波は確実にくるため当分コロナ以前と同じ日常は戻ってきません。ワクチンなどが出来るまで、常にコロナを意識した「withコロナ」の暮らし(新しい生活様式)を続けざるを得ないです。

このような生活の変革のなかで、不動産の価値観も当然変わるはずで、今まで単に賑やかな場所であることだけで高かった商業地地価は、人が集まることが必ずしも良いことでない時代には当然下落するでしょう。

不動産価格に関して、行き過ぎた(東京的発想の)都心駅近信仰が揺らぐことになりそうなのは個人的には歓迎です。







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SREホールディングスの決算に想う

昨年12月東証マザーズに上場したSREホールディングス(旧ソニー不動産。以下「SREHD」)の2020年3月期の決算(連結)が発表されました。売上高3,850百万円、営業利益693百万円、経常利益717百万円、純利益473百万円で着地です。

3Qまで売上高が伸び悩むなか決算説明資料によると、仲介手数料25百万円の大型仲介契約や一棟収益マンション「スマートホーム」の売却価格アップという離れ業で、第4四半期(2020年1~3月)に全体の約40%の売上を確保するという驚異的な追い込みをみせたようです。

それでも、コロナ禍で経済活動に深刻な影響が出始めていた2月14日に開示(業績予想の上方修正)した、売上高4,103百万円には届きませんでした。

今回のSREHD社の決算に関する資料によると、祖業でもある不動産仲介業が今だにテイクオフできていません。

同社不動産事業(仲介と収益マンション施工販売)は、全売上高の83%(約32億円)を占める基幹事業ながら営業利益は138百万円に過ぎず、特に仲介は手数料収入2,017百万円ながら、営業利益はわずか8百万円となっているのです。

売上営業利益

それでも期待のAIクラウド&コンサルティングセグメントはまだ売上規模が小さく、どこまで市場が拡大できるかもやや不透明で、当面売上高の大半を不動産セグメントに頼る展開が続くでしょう。
2019年3月期と2020年3月期の売上高構成グラフ。

売上内訳

◆SREHDの仲介の立て直しは極めて難しい

コロナ禍でも仲介大手の決算は、三井のリハウス、東急リバブル、野村不動産アーバンネットは都内中古マンション活況を追い風に取扱件数や営業利益を順調に伸ばし、住友不動産販売も僅かな減収にとどまっています。仲介収入は物件引渡しで計上なので、3月にコロナ問題があっても当期は業績にあまり影響はないのです。

一方、SREHDの2020年3月期の仲介は全く冴えない結果(会社説明ではコロナ禍で失速?)で、来期はより悪化し大幅な減収減益かつ赤字計上見込むという悲観的な見通しとなっています。

大手との比較は酷としても、SREHDは仲介業で試行錯誤が続くものの、打つ手が無くなってきているのではないか(大口仲介に賭ける?)と思ってしまいます。、

昨年2019年の中古マンション市場は、国土交通省発表の中古住宅の販売量指数(2010年=100)でみても活況で、売買契約件数は増え価格も上昇と仲介業者には願ってもない追い風が吹いている訳です。

関東マンション指数グラフ

そんななかで、SREHDは6年続く好調な市況の波に乗りきれていません。今の事業戦略のままでは、アフターコロナでより厳しくなる仲介市場で浮上を期待するのは厳しいです。

同社は今後(最近の親会社ソニーと同じく)、市況に左右され安定しないフロービジネスの仲介や不動産販売中心の事業運営から、徐々にストックビジネスに軸足を移していこうとしていると感じます。

AIクラウド&コンサルティングの成長を待ちつつ、不動産セグメントはAIFLATの施工・販売や大口仲介で時間を稼ぎながら不動産証券化や投資運用業にソフトランディングしていくのを企図しているのでしょうか(難易度は高い)。

いずれにしても、親会社ソニーがこの子会社の株式上場で再評価益と売却益合わせ営業利益173億円を計上しましたが、上場は親会社のためだったと言わせないためにも、SREHDはこの端境期をうまく乗り切ることが重要となるでしょう。

言わずもがなですが、投資はくれぐれも自己責任で。






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