マンション管理戸数ランキング2017年版

マンション管理新聞社から2017年版(2017年3月末ベース)のマンション管理受託戸数ランキングが発表されました。今回首位が入れ替わり、昨年僅差の2位だった日本ハウズイングが大京アステージを抜き、2012年以来5年ぶりにランキングトップに返り咲きました。独立系管理会社の日本ハウズイングは、他社管理物件のリプレースや系列管理会社を持たない中小建設会社への営業力などで毎年1万戸以上の受注が出来ており、大きな業界再編がなければ当分1位の座は堅いでしょう。

今回もランキング表に、スタイルアクト株式会社の運営サイト「住まいサーフィン」が昨年9月発表した管理会社満足度ランキングも併記しました。管理受託戸数の多さと顧客満足度の相関はあまり強くありません。

2017年版での上位4社の受託戸数推移です。三菱地所丸紅住宅サービスを吸収合併して昨年ランキング4位に急浮上した三菱地所コミュニティが、旧丸紅コミュニティ系子会社の北海道べニーエステート㈱を吸収合併するなどして、管理戸数を30万戸台に乗せてきています。ただこの管理戸数ランキングは、大型の買収や事業譲渡などがないとなかなか順位の変動はありません。

マンション管理会社による不祥事があまりなかった2016年度でしたが、日立ビルシステムの子会社「西新サービス」(もともとは西武百貨店子会社)が今年2月国土交通省の指示処分を受けました(フロント社員の管理費等着服事件)。その事件の影響でしょうか、東京建物が日立ビルシステムから西新サービスの株式の約9割を取得し連結子会社化すると3月に発表がありました。

マンション管理業は利益率は低いものの安定してキャッシュフローを稼げる堅実な業ですが、大阪ガスコミュニティライフ社の致命的な不祥事があったように、内部統制システムが機能しにくいという問題があります。西新サービスはいずれ東京建物アメニティサポートと合併ということになるのでしょうが、コンプライアンス遵守の経営のためマンション管理子会社をマンション管理専業会社に売却するというケースが今後増えるかもしれません。

地味ながら安定成長が続いているように見えるマンション管理業界にも新たな懸念材料「人手不足」の影響が顕在化しつつあります。関西ではまだあまりピンとこないのですが、東洋経済オンラインで「マンション管理人の人手不足がヤバすぎる」という記事を読んだりすると深刻です。有効求人倍率もバブル期越えの状況では時給単価も上がり管理会社の粗利益率も悪化することになるでしょう。

ただより根本的な問題はマンション管理業の生命線、人的資本の塊であるフロント担当者の処遇についてです。働き方改革などが叫ばれるなか、土日出勤や残業が多かったりと厳しい環境でどう彼らのスキルやモチベーションを高められるかがマンション管理会社の大きな経営課題となっていくでしょう。離職率の高いフロントの労働条件や待遇の改善を怠り、管理戸数という量だけを追い求めていると足元をすくわれかねない恐れがあるように思います。

一方、管理組合側としては同じ管理会社のフロント(管理員)でも能力差が大きいので、出来るだけ良いフロント(管理員)を回してもらい、出来るだけ長く担当してもらうようにすることがベターです。

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新築マンション市場4月は好調も完成在庫1,000戸越え(近畿圏)

不動産大手5社の2017年3月期連結決算では、好調なオフィスビル、ブームのような不動産投資熱、低金利による金利負担軽減効果などで増収増益が相次ぎました。しかし、三井不動産、三菱地所、住友不動産3社は過去最高益となる一方、分譲マンション事業が主力の野村不動産ホールディングスは唯一減益と明暗が分かれました。やはり足元はマンション市況の減速感が強まっているという状況でしょう。

不動産経済研究所が4月度のマンション市場動向調査結果を発表しました。首都圏は発売数が大幅減だった前年同月の反動で38.6%増となったものの、契約率は66.3%と今年に入っても低迷が続いています。

首都圏(及び超高層物件)と近畿圏(1K・1DKの投資用物件を除く)の初月契約率推移です。首都圏は販売好転の兆しがないので、2017年の発売予測3.8万戸(前年比6.4%増)の達成は厳しいかもしれません。

近畿圏の4月度はグランドメゾン新梅田などの人気物件が牽引し契約率78.2%と好調でした。ただし完成在庫数が遂に2012年11月以来の1,000戸台に乗ってしまいました。新築マンションは2月3月の竣工が多いため、例年4月5月頃は完成在庫数が増えるのですが、今後は1,020戸になった在庫数の推移も要注目だと思います。

近畿圏4月度実需(ファミリー向け)マンションの動き

近畿圏2017年4月度の新築分譲マンション主要指標です。

・発売戸数   1,391戸(前年同月比5.4%増)
・契約率    78.2%(前年同月比8.2ポイントアッ)
・1戸当り価格  3,833万円(前年同月比0.6%アップ)
・1㎡当り単価  62.2万円前年同月比1.1%ダウン)

近畿圏実需向け物件契約率の推移グラフ。マンション市場が減速しだした2015年秋以降は、変動幅が大きくなっており物件選別が厳しくなっていると言えます。

去年秋、2018年以降引渡し物件に適用されるタワーマンション高層階課税強化が話題になりました。近畿圏で2017年1~4月に売り出された1億円以上の分譲マンション(タワーマンション)は46戸、売り出し月に契約した戸数は35で初月契約率76%とこちらは順調です。

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阪神電鉄が福島の廃線跡でJR西と不動産共同開発

阪神電鉄とJR西日本がJR環状線福島駅近くでホテルと食品スーパーが入居する複合ビルを共同開発すると発表しました。両社が隣接して所有する土地を一体的に開発するもので今年8月に着工し平成31年春に開業を予定しています。

今回開発される土地のうち阪神電鉄所有分は、平成5年の阪神本線地下化に伴なって廃線となった地上線路跡で、廃線跡が大部分を占める土地の商業施設化という珍しいケースです。同じ阪神電車線路跡では既にホテル阪神や微妙にカーブするユニークな形状の福島阪神クレセントビルが出来ています。しかし、阪神とJR西2社所有地にまたがる今回計画地は、線形の土地のため駅至近の好立地にもかかわらず駐車場として利用されるにとどまっていました。

線路跡に建つ建物らしく緩やかな曲線を描く福島阪神クレセントビル。後ろはホテル阪神。

計画地の敷地面積は合計約2,584㎡(約781.6坪)でそのうち阪神電鉄分が1,785㎡、JR西日本分が799㎡と阪神分が全体の約70%を占めます。現在は2社が別々に駐車場を運営していますが、敷地境界に設けられている金網フェンスの位置をもとに、2社所有地のラフな境界予想図を作成しました。環状線側がJR西日本の所有、隣接する南側が阪神電鉄所有の線路跡部分です。

敷地が環状線に沿って東西に細長くかつ緩くカーブもしており、単独での開発は難しかったのですが、共同開発することで設計自由度が高まり一気にハードルが下がりました。一体化して利用される土地には大きな増分価値が生まれることになりましたが、これこそ遊休地活用のためのWIN-WINの提携です。

本業の鉄道事業が頭打ちになるなか、阪神やJR西も収益力強化のため不動産事業に注力しておりこの共同開発が実現したのでしょう。梅田近接でインバウンドによるホテル需要の増大、大規模マンション開発などによる周辺人口増による都市型食品スーパーへのニーズの高まりなど事業環境も良いタイミングです。なおこの共同プロジェクトは土地持分の大半を持つ阪神電鉄が主導して進められるものと思われます。

ホテルと食品スーパーの複合施設は12階建てで、ホテルゾーンは阪急阪神ホテルズ運営の宿泊特化型(1階~12階)ホテルが、1階~3階の商業ゾーンには「阪急オアシス」の入居が予定されています。ホテルは近接するホテル阪神と一体的運営を行うということなので、予約の進捗状況などに応じて宿泊客の振り分けなど柔軟なオペレーションができるのではないかと思います。
また福島駅そばのこのホテルは、うめきた2期の「北梅田駅」(仮称)にも近いことでインバウンド効果によるアップサイドも期待できるでしょう。国内人口は減少しても外国人客はまだまだ伸びる可能性が高いはずです。

建築物の南側立面図

東側(福島駅側)から見た、阪神電鉄のコインパーキング。

東側から高架下の方を見ると環状線に沿ってJR西日本の駐車場があります。こちらは月極駐車場のようです。

西側のあみだ池筋の方から見た阪神電鉄の駐車場。

あみだ池筋側から少し環状線の方を向くと高架下には飲食店群。そしてJR西日本の駐車場。後ろにホテル阪神が見えます。

新規出店の「阪急オアシス」はあみだ池筋沿いに位置します。環状線を挟んで直線距離約340~350m位の所に関西スーパー福島店がありますが少し商圏が違うように思えるので棲み分けできそうです。
大阪市内24区中3番目に人口数の少ない福島区ですが、大小のマンション建設ラッシュで人口増が続いています。福島近辺は阪急ブランドと親和性のある新住民が増えそうなのも追い風となるでしょう。

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