不動産テックで成功する企業はあるのか

以前の記事「AI(人工知能)と不動産テックとソニー不動産」に、今も少しアクセスがあるので不動産テックについては時々チェックをしています。しかし不動産テックはカテゴリーが多岐にわたり、それらが売買、賃貸、収益不動産などごちゃ混ぜになっていて非常にわかりずらくなっています。しかも、不動産実務を十分に把握・理解しないままIT系の発想で組み立てられたビジネスモデルが多いのです。現状では、不動産テック業界に参入しているベンチャー企業でも、特別な強みを持たないと成功するのはかなり厳しいように思います。

イメージ図

また不動産テックの代表格「中古マンション価格推定サービス」もデータをWebクローリングで集めている可能性があり、決して収益貢献が期待できるようなレベルのツールではないと思っていました。そんな時読んだヤドリギさんのブログ「日本の不動産テック企業のほとんどはただのスクレイピング屋である」は不動産テックベンチャー企業の本質をついた非常に鋭い指摘でちょっと感動しました。

それで思い出したのが、昔2001年頃ネットベンチャーが異常にもて囃されたITバブル(約1年間熱狂的なITブームが続きました)時代のことです。当時インターネットに大いに関心があり、2001年春頃ネットベンチャーのセミナーによく出かけましたが、創業者やビジネスモデルの胡散臭さに驚くことが多かったのを覚えています。ベンチャー企業への投資失敗例もかなりあったはずです。

現在は当時とは状況も違い、不動産テックでも業務支援領域や賃貸および収益用のカテゴリーにはかなりの可能性を感じますが、売買仲介領域ではまだ少し時間がかかるのではと思います。
それは、不動産売買に付随する「情緒性」というものを無視した、不動産未経験者による机上のビジネスモデルが多いからです。マンション売却にあたり、長年住んだマンションへの愛着やマンション内の仲良しグループの存在などで、できれば良い人に買って貰ってもらいたいという感情が売主にあるのが普通です。ネットでは「高く売ります(情報は拡散します)」というターゲティング広告ばかりですが、そこはソニー不動産に任せて「当社は丁寧な(カスタマイズして)売却活動をします」的な訴求も面白いかなと妄想したりします。




不動産テックにはクラウドファンディングというカテゴリーがあります。不動産テックを謳っての資金調達というのはあり得ないかもしれませんが、投資には健全な猜疑心を持って臨んだほうがよいでしょう。






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10月の新築マンション市場は好調持続(近畿圏)

近畿圏の新築マンション市場10月度は発売数前年同月比16.0%増、初月契約率74.2%と引き続き好調となっています。一方首都圏は契約率60.7%と大きく落ち込んで需給の改善はありません。首都圏の販売不振は価格高騰によるものですが、夏以降ダウントレンドがより鮮明になっていて厳しい状況です。

(首都圏と関西圏の初月契約率推移。関西分は首都圏で殆ど発売されない投資用を除く)
首都圏近畿圏契約率

実は近畿圏も実需向けの数字で見ると、10月の契約率70%で9月のような勢いはありません。(先月が良すぎたということはあるのでしょうが)

実需契約率

しかし価格帯別成約率で見ると2017年は、ファミリー向け価格帯契約率が順調に推移しています。また、2500万円以下の低価格帯(投資用)と億ションが、一般取得者向けよりも高い契約率になっているのは興味深いです。特に1億円以上のマンションの初月契約率は77.2%と前年の63.7%を大きく上回っていて好調な販売状況です。1億円以上のマンションについては、投資目的で首都圏などからも購入があるのでしょう。

価格帯別

ちなみに現在日経平均株価はバブル気味になっています。買い手は海外勢で国内の個人投資家はほぼ売り一色というような感じだそうです。おそらく緩和マネー以外でもあり余っているお金が、関西の投資用物件や高額タワーマンション購入に流れてきているのでしょう。もしそうであれば多少利回りが低下していっても当分投資需要は堅調に推移するかもしれません。

2015年からの実需向け新築マンション初月契約率グラフ。上向き継続中です。
実需向け契約率

近畿圏2017年10月度の新築分譲マンション主要指標です。

・発売戸数   1,263戸(前年同月比3.3%増)
・契約率    71.8%(前年同月比3.2ポイントアップ)
・1戸当り価格  3,989万円(前年同月比15.3%アップ)
・1㎡当り単価  59.6万円前年同月比10.6%アップ)

10月は70%となった実需向け物件契約率ですが、11月には注目の大型物件「ジオ福島野田THE Marks」の販売開始などで、また上向くような気がします。






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パレスホテルが関西初進出検討、堂島(北新地)に

最近、大阪都心部での都市再開発事業はほぼホテル開発という状況になっています。マンションなどがメーンだったこのブログでも新設ホテルのことばかり書いているような気がします。

少し古いですが、高級ホテル「パレスホテル東京」を運営するパレスホテルが関西進出検討というニュースがありました。候補地は、関電不動産開発が建設する堂島(北新地)の複合ビルです。
このビルは地上17階・地下1階建てで1~13階に宿泊特化型のホテル(約200室)が入り、14~17階の高層階には富裕層向けの賃貸マンション(30戸)という構成で計画されています。

複合ビルの敷地面積は、約1,600㎡(約484坪)とそれほど大きくはありません。事業主の関電不動産開発からすると、オフィスほどの賃料収入が見込めなくともホテルは長期に渡って安定した収入が見込めるので良いテナントということだと思います。

周辺図です。
堂島周辺図

現地周辺の拡大図です。敷地南側にはアクア堂島東館があり堂島川や中之島方面の眺望はありません。堂島川を望む、近くのANAプラザクラウンホテル大阪の立地とはかなり差があると思います。

周辺図

ビル建設地を東側から見て。前面道路はあまり広くないです。
現地東側から

西側から東側を見て。
現地西側から

中之島側から見た複合ビル南側にある、アクア堂島東館やアクア堂島浜NBFタワーです。
南側から




この周辺では外資系高級ホテル「コンラッド大阪」が中之島で6月に開業。また四ツ橋筋の向い側で関電不動産開発の複合ビルと敷地面積もほぼ同じ位の旧堂島ホテル跡地でも2020年に外資系のホテル(約300室)開業計画があります。旧堂島ホテル跡地は、四ツ橋筋沿いで視認性が高い好立地です。
ただ、インバンドで活況の大阪のホテルも、供給が増え平均客室単価は下落傾向です。今後は宿泊客獲得競争がより激化するかもしれません。

パレスホテルが進出を決めた場合、国内ホテルとしては最も平均客室単価が高いホテルというイメージからかなり高級な宿泊特化型ホテルになるとの見方が多いようです。しかしこの立地などを考えると結局は、パレスホテルのイメージやサービスレベルをなるべく維持しながら宿泊主体型「アップスケール(高価格帯)ホテル」になるのではないかと思います。

ビル構成図(案)。
ビル概要

ユニークなのは、14~17階の高級賃貸マンション部分です。恐らくパレスホテルと連携しケータリングサービスやリネンサービスが付加価値となるのでしょう。どんな企業が事業者になるのか注目しています。

それにしても大阪のホテル開発と日経平均株価の勢いが止まりませんね。






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