心斎橋の東急ハンズ入居ビル、日本リテールファンドが売却

日本リテールファンド投資法人(以下「JRF」)は、東急ハンズ心斎橋店がテナントとして入居する「大阪心斎橋8953ビル」の不動産信託受益権を売却しました。売却価格は149億円です。
東急ハンズ心斎橋店は大阪市内第1号店で、1999年のビル竣工時から1棟全体を借りるテナントとして営業しています。

このビルはJRFが2002年3月、143億円(土地約99億円、建物44億円)で取得したもので、今回149億円での売却により約27億円の売却益(2019年8月末時点想定帳簿価額は120億円)を得ることになります。

ちなみに、建物帳簿価額(2018年8月末時点)は 21 億円なので、約550坪の土地部分の価格が128億円、坪単価では約2,327万円強の取引になる計算です。

物件概要

広い長堀通に面する「大阪心斎橋8953ビル」(東急ハンズ心斎橋店)は、インバウンド需要に沸く心斎橋筋の少し東に位置し、地下鉄心斎橋駅から徒歩4分の所です。心斎橋筋にはJRFが保有するGビルシリーズがあり、賃料負担力の高いドラッグストアなどがそれぞれ主要テナントとなっています。

周辺図

この「大阪心斎橋8953ビル」に関してJRFは、リーマンショック後の2009年にテナントの東急ハンズから賃料減額訴訟を提起されました。しかし、5年ほどかかった訴訟は和解金を支払うなどでうまくソフトランディングできました(2014年)。

(過去記事:東急ハンズ賃料減額訴訟は和解

ただ、このビルは「商業立地としては心斎橋エリアの中では劣る立地。建物はテナント(東急ハンズ)仕様で汎用性が低い」(JRFのニュースリリース、売却理由)とされています。確かに広い長堀通に面していて大型バスも止めやすいこの立地は、ホテル併設の複合用途が最有効使用とは思います。

今回の売却はJRFにとって、市場環境やタイミングなど最善の出口戦略との判断でしょうが、巧みなファンド運用です。

JRFニュースリリース:国内不動産信託受益権の譲渡に関するお知らせ【大阪心斎橋 8953 ビル】

インバウンド需要をエンジンとして大阪は好況を呈しています。ただ最近、中国の新EC法や景気減速による影響なども報じられていますが、この大きなインバウンド需要は他力本願的な面があり気になるところです。

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近畿圏1月新築マンション市場、投資用1Kタイプ失速

2019年1月度の新築マンション市場動向が発表されています。
近畿圏の1月度は投資用の1Kタイプが、初月契約率100%という熱狂状態だった前年同月とは一転して急落です。発売戸数237戸に対し契約は152戸で初月契約率64%に沈んでしまいました(不動産経済研究所)。

一方、前月に何年振りかの契約率50%割れとなった首都圏は、契約率67.5%と少し盛り返していますが、まだまだ反転攻勢という雰囲気ではありません。首都圏に勢いがでないと新築分譲マンション市場は縮小一方になりかねないので2月以降が注目です。

過去1年の近畿圏と首都圏の実需向け物件の初月契約率推移です(投資用の1K,1DK,1LDKタイプは除外)。近畿圏を大きく超える契約率が普通だった首都圏の不振が長引いています。

価格帯別

1月は投資用低迷もファミリー物件はまずは順調(近畿圏)

大阪のマンション市場は好調などという記事もよく見ますが、仮需(投資)を除くと好調というほどではなく、まずまずという位のところだと思います。
1月の価格帯別初月契約率(近畿圏)でみると、2,500万円以下(投資用1Kタイプの物件)が前年比大きく落ち込んでいます。

レオパレス問題などもあり投資マインドの悪化や銀行融資のより一層の引き締めなどが影響しているのかもしれません。ただ、3,500万円以下の手頃な価格帯や5,500万円以下のファミリー物件などが動いてまずは順調だっと言えるでしょう。

価格帯別

1月度の発売数と契約率推移(投資用を除く)。
前月は発売数大幅増だったものの1月は例年並みの発売数でした。契約率はともかくとして508戸という契約戸数は寂しい数字で、春商戦2月での挽回期待です。

実需グラフ

近畿圏新築マンション市場1月度各指標のまとめ(投資用を含む)

・発売戸数   1,044戸(前年同月比4.3%減)
・契約率    70.2%(前年同月比7.9ポイントダウン)
・1戸当り価格  3,756万円(前年同月比6.5%ダウン)
・1㎡当り単価  63.8万円(前年同月比6.2%ダウン)

新築マンション市場の低迷が長引き出口の見えない首都圏では、マンションデベロッパー大手の中古マンション買取再販事業参入が目立ちます。中古マンションを買い取って、リフォーム後に分譲するものです。都心回帰が強まるなか、この手のリノベ中古マンションで立地の良い物件には、一定の需要がありそうです。






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三井のリハウス、今年度も売買仲介取扱件数No.1?

三井不動産・住友不動産・東急不動産の2019年3月期第3四半期決算が発表されました。3社の不動産流通セグメントで、その子会社である仲介大手3社(三井不動産リアルティ、住友不動産販売、東急リバブル)の仲介実績進捗状況を見てみました。

全体的には取扱件数は微増だったものの、取扱単価が上昇(中古マンション価格上昇。手数料率は変わらず?)したため順調に各社売上高(手数料収入)を伸ばしています。新築マンション市場には逆風が吹いていますが、中古住宅市場はまずまず順風のようです。

今期注目していたのは、フランチャイズ制による事業運営から直営体制に完全移行した三井のリハウスが、住友不動産販売との「仲介取扱件数No1」争いで優勢を保てるかという点でした。結果的には、「リハウス」が先行して(2018年12月時点で2,255件差)おり今の勢いでは、取扱件数4万件超えで33年連続の仲介取扱件数No.1となりそうです。

差別化しにくい仲介サービスで「No1」訴求は、強いインパクトがあるので、住友不動産販売は従来の「直営仲介No1」に代わるどんな訴求をしてくるのでしょう。

グラフ

今年度も4Qを残すのみとなりましたが、4Qは不動産流通最大の繁忙期で稼ぎ時です。最終的には3社共に件数、手数料収入を前期より上積みした良い決算になりそうです。下表は2018年3月期の売買仲介での実績です。

前年実績

◆手数料収入は「三井のリハウス」が独走

仲介収益(手数料収入)でも、三井のリハウスが、「大型法人契約」の成約があったため(決算短信)実績を大きく伸ばしているのが目をひきます。

関西にいると不動産仲介では住友不動産販売の強さが目立ちますが、全国規模では三井のリハウスの仲介収益が他社を圧倒しています。取扱件数は拮抗している住友も、手数料収入はリハウスに太刀打ちできません。

仲介大手3社の収益構造はあまり開示されないのですが、三井のリハウスは法人取引に強みがあり、住友不動産販売は個人取引中心で実績を伸ばすという印象です。一時首都圏仲介No1を謳っていた東急リバブルは、売買仲介以外の不動産販売という買取転売に力を注いでいるように感じます。

不動産の仲介営業は、担当者が成約までの全てを一人で行うというスタイルですが、仲介営業マンの能力差は結構あります。そのため「担当者」により、サービス品質に大きな差がでてしまうのが現状です。

昨年、ある物件の売却依頼をした際、一般常識やコミュニケーション能力に疑問があるような外れの担当者に当たってしまい、そのレベルの低さに驚いたものでした。実績豊富で安心を謳う最大手の1社に依頼したのですが、営業マンに対する教育やコンプライアンス研修は殆どされていないと感じました。

安心して取引出来るよう売却活動をしてもらえるのか不安で、担当とは記録が残るメールでやりとりしたという経験から言っても、会社のネームバリューだけで安心するのは禁物です。
それほど仲介における顧客満足度を左右する営業マンですが、今後人出不足がより深刻化すればその劣化傾向が強まる可能性も大きいでしょう。

三井のリハウスでは、そういう従来の業界常識だった個人主義の営業スタイルを変え、「ユニット制」というチームで営業するというスタイルが取り入れられています。業界では不評でも地味にそういった取り組みが好業績につながっているのかも知れません。

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