コロナの影響で大阪ミナミの地価急落、今後も下落続くか

大阪府地価調査結果(7月1日時点)が発表されました。半年前の公示価格時点(1月1日)では想像も出来なかった新型コロナウィルスに見舞われ、その影響を初めて織り込んだ地価調査となりました。

そのため今回は前年比よりも、1月と7月の年2回公表される、地価公示ポイントと大阪府基準地ポイント重複地点で公示価格と府地価調査を比較し(半年間の)変化率を見ることが重要となります。
実際に、前年比では大阪府上昇率トップとなった「新大阪第一生命ビル」ですら、1月比では大きく下落しているような状況になっている訳です。

1月比

コロナ収束はいまだ見通せず、公示価格等地価指標の下落はまだまだ続くと思われます。地価上昇が長く続いたので、その分厳しい下落の可能性もあり警戒が必要です。

今回の府の調査結果を1月時点(公示価格)と比較すると都心商業地、とりわけ訪日外国人需要で盛り上がっていたミナミの下落が突出しています。1年前の地価調査で45.2%もの大幅上昇率を記録した「住友商事心斎橋ビル」は一転20%近い暴落となり、あえなく大阪高価格地点首位陥落です。

オフィス+その他商業+マンションの需要が見込めるキタと違い、ミナミは他力本願といえるインバウンド需要(ホテル・商業施設)一本足のためジェットコースターのような展開になりました。

高価格TOP3

キタを代表する「グランフロント大阪南館」とミナミの「住友商事心斎橋ビル」の公示価格と地価調査(以下「公示価格等」)による半年ごとの価格推移(両者は公示価格と地価調査共通地点)。

キタミナミグラフ

言うまでもなく公示価格等は地価の指標であり、実勢価格(取引価格)とは乖離しているものです。
しかし公示価格等の上昇が続くと、不動産市場は強気一辺倒となり公示価格等を大きく上廻る価格での不動産取引が行われ、それがまた価格指標を押し上げるというのが長く続いた上昇局面でのパターンでした。

2019年4月売買された「住友商事心斎橋ビル」は、直近1月の公示価格(1,980万円/㎡)の倍以上の㎡単価で取引されたため、7月の基準地価格で前年比45.2%も急上昇したのは記憶に新しいところです。

(過去記事:大阪最高価格地点のクリサス心斎橋を住友商事が取得

報道では大阪府の商業地は8年連続上昇し前年比+1.8%だったとされていますが、1月以降の半年間ではマイナスに転じているという事実があります。

行政区別

やはりミナミを抱える中央区商業地の平均下落率が最も大きくなっています(高麗橋や谷町などを除けば2ケタ減)。ミナミの高地価を支えていた、賃料負担力の高いドラッグストアまでもが閉店するようでは、収益力が命の商業地にとって本当に厳しい状況と言えるでしょう。

まだ、実勢価格の値下がりなどの動きは見られなくとも、悪化した実体経済やインバウンド需要の早急な回復は見込めない状況では、既にマイナスに転じた住宅地を含め、当面関西の地価(特に商業地)は下落基調で推移するでしょう。






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近畿8月マンション市場、投資用は破竹の勢い実需は減速

近畿圏新築マンション市場8月は、新型コロナ禍で発売先送りされていたワンルーム系が大量供給され市場を席捲、都市型コンパクト型と合わせ、初月契約率94.7%742戸発売)とバカ売れとなりました(不動産経済研究所データから)。

一方、2~4LDK(実需向け)は契約率64.2%(875戸発売)と、投資用と30ポイント以上差がついてしまいましたが、全体としては、コロナ禍の混乱からマンション市場は落ち着きを取り戻したと感じる結果です。

下図は8月のタイプ別発売数割合グラフで、ワンルーム・コンパクト型がほぼ半分を占める特異(普通2~3割程度)な状況となっています。

円グラフ

ワンルーム・コンパクト型では、今まで供給の少なかった(はず)京都市内の物件が発売され人気でした。インバウンドバブルが弾けた京都は、ホテル建設ブームから投資用マンション建設へと流れに変わってきているのでしょう。
ただマンション市場のデータとしては、実需向けと投資用はデベロッパーも顧客も全く別物なので分ける必要があると思います(首都圏はワンルーム規制がある)。

ワンルームやコンパクト型を除外した、マンション発売数と初月契約率の推移。4月5月に発売を見送られた物件が秋以降順次発売になるかどうか注目です。

ファミリー向けグラフ

価格帯別の売れ行き状況。8月は(3000万台以下は別にして)どの価格帯もほぼ同じ位の契約率です。

価格帯別

8月発売物件で発売月に契約出来た戸数(ワンルーム系除く)。5月の落ち込みが大きいものの徐々に回復傾向にあります。案外新型コロナ禍は、不動産購入にとっては良いきっかけとなっているような気がします。

契約戸数

首都圏もやや立ち直り傾向か

価格が高止まりして低調だった首都圏マンション市場もようやく持ち直し傾向になってきたようです。都心部より(価格の安い)郊外部の供給が増えていけば、契約率も上がりそうな気配です。

首都圏近畿圏

近畿圏8月の指標。1R、都市型コンパクト含む平均値なので、あまり参考になりません。

・発売戸数   1,617戸(前年同月比20.6%増)
・契約率    78.2%(前年同月比6.7ポイントダウン)
・1戸当り価格  3,492万円(前年同月比14.3%アップ)
・1㎡当り単価  69.4万円(前年同月比6%アップ)

コロナ禍で実体経済はどん底でも、超金融緩和であり余ったお金が株式市場、高級車、不動産投資市場に流れ込むという状況はどう見ても危ういと感じます。実需はともかく仮需は何時までもこの活況が続くとはとても思えません。






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収益マンション転売における消費税の税務処理巡る訴訟、国税側敗訴

転売目的で収益用中古マンション(入居者付き)を仕入れた後、転売するまで家賃収入を得ていた不動産業者の消費税税務処理を巡る訴訟で、国税局敗訴の判決がありました(9月3日)。

消費税では、「仕入税額控除」という制度があり、買取転売業者が収益マンションを転売する時に受け取った消費税から、当該マンション仕入れ時に支払った消費税を差し引いて納税することができます。今回の訴訟では仕入れ時に支払った消費税全額が還付(控除)されるのかどうかが争点となっていました。

上記訴訟に係る取引では、一棟収益マンション転売という仕入税額控除ができる課税売上住居用家賃収入という仕入税額控除不可の「非課税売上」とが混在するため、国税局は全額控除処理にノー(報道では3割程度の控除認める)と言っていた訳です。

訴訟イメージ図

消費税テキスト

一棟収益マンション売買は消費税額が巨額になるだけに、業者にとって(仕入れ時に)支払った消費税全額が仕入税額控除(還付)されるのか、その一部しか還付対象とならないのかは経営上極めて大きな問題となります。

今回東京地裁は、「仕入れの目的は建物の転売であって、家賃収入は副次的なものにすぎない」など(日経新聞)とする、不動産業者エー・ディー・ワークス社の主張を認め同社への課税処分(3期分約5億3千万円)を取り消す判決を言い渡したのです。

判決で清水裁判長は
「仕入れの目的が不動産の売却にあることは明らか。賃料収入は不可避的に生じる副産物として位置づけられる」と指摘。賃料収入が見込まれるからといって全額を差し引けないとする国税の判断は「相当性を欠く」と結論づけた。(日経新聞)

非課税売り上げとなる家賃収入があるなか、判決では「転売目的で仕入れたのなら賃料収入は不可避的に生ずる副産物的なもの」として、エー・ディー・ワークス社が仕入れ時に支払った消費税全額が還付(控除)されるべきだとしています。

しかし、物件によっては転売までの間の家賃収入は無視できない額になるしマンション転売業で、賃料は大きな意味を持ち決して副産物的な位置づけのものとは言えません。当然マンション仕入れ時の事業計画にも相当大きな影響を与えているものだと思います。

今回、エー・ディー・ワークス社の訴訟代理人を務めたのは森・濱田松本法律事務所で、この勝訴は流石でした。ただ国税側が控訴した場合、高裁で逆転も十分あり得るので決着にはまだ時間がかりそうです。

なお、節税スキームの横行などで消費税法が改正され、居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度も適正化され、10月1日以降はこの問題はなくなることになります。






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