収益マンション転売における消費税の税務処理巡る訴訟、国税側敗訴

転売目的で収益用中古マンション(入居者付き)を仕入れた後、転売するまで家賃収入を得ていた不動産業者の消費税税務処理を巡る訴訟で、国税局敗訴の判決がありました(9月3日)。

消費税では、「仕入税額控除」という制度があり、買取転売業者が収益マンションを転売する時に受け取った消費税から、当該マンション仕入れ時に支払った消費税を差し引いて納税することができます。今回の訴訟では仕入れ時に支払った消費税全額が還付(控除)されるのかどうかが争点となっていました。

上記訴訟に係る取引では、一棟収益マンション転売という仕入税額控除ができる課税売上住居用家賃収入という仕入税額控除不可の「非課税売上」とが混在するため、国税局は全額控除処理にノー(報道では3割程度の控除認める)と言っていた訳です。

訴訟イメージ図

消費税テキスト

一棟収益マンション売買は消費税額が巨額になるだけに、業者にとって(仕入れ時に)支払った消費税全額が仕入税額控除(還付)されるのか、その一部しか還付対象とならないのかは経営上極めて大きな問題となります。

今回東京地裁は、「仕入れの目的は建物の転売であって、家賃収入は副次的なものにすぎない」など(日経新聞)とする、不動産業者エー・ディー・ワークス社の主張を認め同社への課税処分(3期分約5億3千万円)を取り消す判決を言い渡したのです。

判決で清水裁判長は
「仕入れの目的が不動産の売却にあることは明らか。賃料収入は不可避的に生じる副産物として位置づけられる」と指摘。賃料収入が見込まれるからといって全額を差し引けないとする国税の判断は「相当性を欠く」と結論づけた。(日経新聞)

非課税売り上げとなる家賃収入があるなか、判決では「転売目的で仕入れたのなら賃料収入は不可避的に生ずる副産物的なもの」として、エー・ディー・ワークス社が仕入れ時に支払った消費税全額が還付(控除)されるべきだとしています。

しかし、物件によっては転売までの間の家賃収入は無視できない額になるしマンション転売業で、賃料は大きな意味を持ち決して副産物的な位置づけのものとは言えません。当然マンション仕入れ時の事業計画にも相当大きな影響を与えているものだと思います。

今回、エー・ディー・ワークス社の訴訟代理人を務めたのは森・濱田松本法律事務所で、この勝訴は流石でした。ただ国税側が控訴した場合、高裁で逆転も十分あり得るので決着にはまだ時間がかりそうです。

なお、節税スキームの横行などで消費税法が改正され、居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度も適正化され、10月1日以降はこの問題はなくなることになります。






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