近畿圏マンション市場の7月は、発売数が前年同月比48.5%減の921戸と半減、契約率は同15.7ポインダウンと大きく失速しました。
5月を底にコロナ禍から回復基調でやや落ち着きを取り戻しつつあった市場に厳しい数字です。
ただ7月のデータ大幅悪化は、統計上の前年同月比マジックというべきもので、絶好調だった2019年7月と比較されたことによるものです。この程度ならいわば想定内のものと思います。
今年7月の実需向け契約率67.5%は近畿圏としては、コロナ禍でもありそれほど悪い数字ではありません(南大阪ではまず出ない駅直結大型タワーマンションが大人気となった昨年7月に比べ見劣りはしても)。5月を底に回復基調にあるという大きな流れには変わりないでしょう。
価格帯別の発売と契約率。投資用(ワンルームや都市型コンパクト)がコロナ禍以降発売数、契約率ともに落ち込む動きが続いているのと、一次取得者用の低価格帯物件の発売減が目立ちました。
前年は、億ションが発売月に94.1%(51戸発売で48戸契約)も売れているなど異常なほどの勢いで絶好調すぎますが、今年も各価格帯で大きな落ち込みはありません(発売数が抑制されていたとしても)。
それにしても、関西は市場が小さいので超優良物件が売り出されると一気にムードが変わります。
プラウドタワー堺東
2019年7月絶好調の特殊要因となったのは野村不動産の「プラウドタワー堺東」で、125戸即日完売を記録しています。
このタワーマンションは、南海高野線特急停車駅堺東駅デッキ直結(徒歩2分)という再開発物件です。
以前この場所にあったダイエーにはよく行っていましたが、当時から堺東駅と広いペデストリアンデッキ?で結ばれていて駅から行きやすかったのが印象に残っています。
今回駅直結デッキは屋根付きに整備され、タワーマンション最強の立地と感じになっていますが、東隣の堺市役所敷地へ行けるデッキも同時に設置されるのは地味に大きいです。
(完成予想図)
総戸数333戸のプラウドタワー堺東は、その後も売出しごとに即完状態を続け、価格を切り上げながら現在は最終期近くに入っているようです。「プラウド」はあまり南大阪では見かけない気がしますが、流石にしっかり調査準備し好調販売を続けています。
近畿圏7月の指標(1R、都市型コンパクト含む)。
・契約率 67.4%(前年同月比15.7ポイントダウン)
・1戸当り価格 4,917円(前年同月比1.3%アップ)
・1㎡当り単価 77万円(前年同月比4.3%アップ)
下図は7月の売出し月に契約できた戸数のグラフです。昨年後半は消費税増税で低調だったので8月以降は前年超えを目指したいところです。
長雨の後の酷暑で閉塞感もあるなか、株式市場は早くもコロナ以前の状況に戻る活況となっていますが、不動産賃貸ではワンルームに申し込みが入らないという話もあります。
報道では新型コロナの指定感染症「2類相当」の見直しが現実味を帯びてきており、軽症者が自宅隔離になると、経済活動にもはずみがでそうです。秋以降のマンション市場もV字回復となるのでしょうか。