積水ハウス地面師詐欺事件、驚きの社内調査報告書

積水ハウスが品川区の土地売買に関し、地面師グループに55億円を騙し取られた詐欺事件についての社内「調査報告書」を読みました。

この調査報告書(全文)は同社がどうしても知られたくなく、大阪地裁の「文書提出命令」には(大阪高裁に控訴し棄却される)閲覧制限するなどして、頑なに公表を拒んできたものです。

一般の人が読めばよくある企業不祥事と思える内容かもしれませんが、不動産取引に関心ある人が見れば、余りに杜撰でコンプライアンスや危機感のない組織風土が露わになっていて驚きの内容でした。これはやはり会社として公開したくなかったはずだと納得です。

極めつけは、権利証を提出できないという偽売主の虚言を信じその代替手段として、わざわざ相手方(偽売主の)代理人弁護士作成による「本人確認情報」を採用し登記申請に使っているところです。

権利証を持っていないことを疑うべきだし、最悪でも自社側司法書士に作成させるべきことです。

積水の担当者に何が何でもこの取引を遂行しないといけない特別な理由があったのかもしれませんが、自分の住所や誕生日、干支を間違えるといった不自然な売主の振る舞いを知っていて、疑念をもたないというのが解せません。リスク情報が数多くあるなか不思議な対応です。

事実経過をまとめてみました。

物件や売主についての精緻な調査などする前に、早々に社長決裁を取ってあとは一瀉千里という感じで突き進みます。真の所有者から内容証明郵便が4通送られてきますが、取引妨害!というあり得ない理由で無視してしまいます。

以下建物内覧から残代金決済時まで。結局なりすましの売主は現地に現れませんでしたが、多くのリスク情報からここでなりすましの強い疑いをもつべきだったでしょう。物件所在地が売主の住所(公募上)であもあり来ないというのは変です。また、顧問弁護士から本人確認(周辺聞き込みなど)についての忠告を受けながら結局実行していないのもいけません。

不動産会社のマンション用地仕入れ担当者は、情報収集が最重要で不動産取引実務に精通していない分、取引に際し顧問弁護士や司法書士と緊密に連携をとっているものだと思っていました。しかし実際は(積水ハウス社では)そんな気配はないようです。

この地面師事件、詐欺グループには(偽造)スキルも緻密さもなく子供騙しレベル(積水ハウス以外全不動産業者に見破られた)なので、多分手付金程度の詐欺を目論んでいたのではないかと思います。ところがあまりに積水側が無防備に信用するので、そのまま残代金決済まで進めたということだと感じます。

しかし55億円はどこに消えたのでしょう。






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