ソフトバンクグループ、不動産ビジネス投資傾倒の危うさ

昨年12月国内通信子会社「ソフトバンク(株)」の株式上場での公募割れでケチがついた、ソフトバンクグループ社にまた暗雲がたち込めています。

特に力を入れていた、不動産×テクノロジー(という美名)領域の未上場・急成長ベンチャー企業への巨額投資戦略に綻びが出始め、投資家の眼が一気に厳しくなってきているのです。今後、ユニコーン投資に陰りがでるのは確実でしょう。

整理しておくと、ソフトバンクグループ社(代表者が孫さん)は、中核となるソフトバンク社など事業会社を傘下におく持ち株会社であり、自ら巨大ファンドを運用する投資会社でもあります。

SBG図

今回、同社1号ファンド、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが1兆円を出資する不動産テックシェア・オフィス大手「WeWork」が、巨額赤字と事業計画の酷さで(その後創業者の乱脈経営も発覚)米ナスダック市場への上場が延期となってしまった(第2のアリババとまで言われていたのに)ことが問題の発端です。ソフトバンクグループ社は、資金調達に失敗したWeWorkに更に最大1兆円に及ぶ追加投資・支援やむなしの状況になり、株価下落のピンチに陥っているのです。

米配車サービスのウーバーの上場後株価低迷も含め、投資会社という立ち位置を鮮明にしているソフトバンクグループ社にとり、投資先選別の目利き力に疑問符がつくのは決定的に痛いことです。




その他に1000億円超の出資先である不動産テック系新興企業では、米不動産仲介のCompass社は経営幹部流失という事態に直面し、インド発の格安ホテル・住宅系スタートアップの「OYO」も法規制や習慣の違う海外展開で模索中というところです。

国内の不動産ビジネスを見てもソフトバンクグループ社は、不可解な動きをしています。サブリース主体のアパート建築、賃貸会社「MDI」社と資本提携したり、法令違反で泥沼のレオパレス21をOYOと組んで買収するのではという報道などです。コンプライアンス問題は別にしても、スジの悪い不動産投資戦略に舵を切っているようで驚きます。

OYOは家具家電付きで敷金礼金ゼロの賃貸住宅サービス「OYO LIFE」を始めているので、レオパレス21とはシナジーがあると考えているのかもしれませんが、やはり悪手のような気がします。

◆WeWorkは不動産サブリース業の会社

WeWorkは、テクノロジー企業としての期待で極大化された想定時価総額を半減させてしまいました。結局はテック企業というようなものではなく、新規性も感じないコワーキングスペースを提供する普通の不動産サブリース業の企業だったことが分かってしまったためですが、その前途は厳しいものになるでしょう。

大阪市内でも、WeWorkは幽霊ビルだった20階建て御堂筋フロントタワーの一棟借りで派手なシェアオフィス進出をしましたが、その後の動きは報じられません。今月にはヨドバシ梅田タワー「リンクス梅田」8階に進出しますがあまり話題になっていないようです。共に相当高い賃料を支払っているはずです。

wework大阪所在図

リンクス梅田

立地は抜群でも普通のオフィスより2~3倍割高な、コワーキングスペース業を見栄よりも実利を尊ぶ関西で成功させるのは至難の技だと思います。

規模こそ小さいものの、創業社長が推進した不動産事業領域で悪戦苦闘する「ヤマダ電機」にみるように、安易な不動産事業への進出は極めて難しいものです。進出にあたって、金融の視点で事業を判断してしまいがちになるので成功はおぼつきません。

いずれにしろ、ソフトバンクグループの11月6日午後3時公表予定の2020年3月期第2四半期連結決算発表が注目です。どんな会計マジック(のようなもの)が見れるのでしょうか。






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