長崎市青山町の通行止め問題にみる私道のリスク

長崎市青山町の団地内私道を私道所有者が、強引に一部を閉鎖して(車両)通行止めにしたことが大きな話題になっています。

1960年代後半開発されたこの団地は、JR長崎駅の北西約4kmの高台に位置し、私道の総延長は約700m、延べ面積は約3,700㎡あります。昨年11月(前所有者時代)までは、通行は自由で私道の保存・管理行為は主に自治会が担っていたようです。
50年以上経過した古い団地で住民の大半が既に入れ替わっていると思われるなか、いままでナアナアで済んでいたことが、私道所有者が代わったため一変しました。

新しい所有者から私道の通行に関し厳しい条件(月額「1世帯1万円」「車所有なし3千円」「自動二輪のみ所有5千円」などの通行料請求)をつきつけられ、住民との間でトラブルが顕在化したわけです。改めてこれだけの規模の生活道路を私道のままにしておくことの怖さを感じました。

私道概略図

報道などからまとめた事件の概要。この私道をあえて買取った(ビジネスとして)はずの不動産管理業者が、私道の無償提供を市にもちかけたというのにはやや違和感があります(単なる打診だったのかもしれません)。

事件概要

しかし事件の流れをみると、私道所有者の不動産管理業者は手慣れた感じ(封鎖のしかたなど)で、粛々と手を打ってきています。押されている住民側が態勢挽回を図るのはなかなか大変です。

私道の所有権が完全な第三者に移転すると、悪くすれば、ライフライン(上下水道)の道路掘削許可問題まで波及する恐れがあるので、住民側としてはもっと早めに手を打ち対策すべきはずなのに、ちょっと危機感が足りなかった印象。




ネット上では、市が私道の寄付を受ければいいのにという無責任な意見を結構見かけるのですが、この私道については現状のままで寄付を認められることはあり得ません。市道認定基準から大きく外れているからです。

市が私道の提供をうけ市道認定するには道路幅員4m以上など条件があり、4m未満の幅員箇所や側溝、ガードレールなどを整備すれば寄付を受けるという当たり前の対応を長崎市はしているのです(整備に要する費用には9割の助成金制度あり)。

住民側は早速、通行妨害を禁止するよう求める仮処分を長崎地裁に申し立てました。しかし(登記されていない)通行地役権が単純に認められるとは考えにくいでしょう。裁判官は恐らく和解を勧めてくるのでないかと思われるので、住民側も相応の負担を求められる可能性が高いです。

一般的に、業者が開発行為を行うときは行政と事前協議し、分譲後私道部分を市に寄付し公道とします。ただ、それでも分譲が終わるまでに業者が倒産したりして、私道部分が移管されず業者名義になって残っているケースもあるので注意が必要です。

市に寄付しないミニ開発での私道の所有形態は単独所有(業者)か住民の共有と2パターンです。

上図右側の私道持ち分共有パターンで多い問題は、私道の共有者のなかの誰かの所在が不明で必要な工事が実施出来なくなることです。私道に埋設されている上下水道等設備の工事には共有者全員の同意が必要で、1人でも欠けると道路の掘削が出来ない事態となる訳です。

本当に土地や戸建て購入時には私道について十分過ぎるぐらい注意が必要だと改めて思います。






 

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