NIPPO、マンション訴訟上告棄却と都への損害賠償請求訴訟

NIPPOと神鋼不動産が、マンション完成直前に建築確認を取消した東京都建築審査会裁決取消しを求めていた訴訟は、最高裁で上告棄却・上告不受理となり、事業主2社の敗訴が確定しました。

これで行政訴訟が決着し、今後はNIPPOが(単独で)提訴している国家賠償法に基づく東京都への損害賠償請求訴訟という民事での争いに移ります。

ところで完成直前(残りは外構工事位?)で塩漬け状態になった地下2階地上8階建てのマンション、今後どうなるのでしょう。敷地は、東側の道路及び西側の道路(六角坂)共に接道幅が狭く、南側の堀坂は急傾斜かつ狭いなど変則的な地形・地型です。
2回も建築確認取消しをされているように、これだけ大規模な建物を安全面も配慮しながら設計するのは大変だったはずです。

小石川2丁目航空写真

改めて見ると堀坂は、西側から東側にかけて相当な傾斜(高低差)があり、かつ道路幅も狭いです。

堀坂断面図

◆東京都への約107億円損害賠償請求訴訟

最高裁の上告棄却でNIPPOの次なる手、東京都を相手どり国家賠償法に基づく約107億円の巨額賠償を求めた、東京地裁での損害賠償請求訴訟が注目されます。

本件訴訟(5月提訴)に、小石川2丁目マンション(ル・サンク小石川後楽園)の共同事業主「神鋼不動産」(事業持分は小)の名前がないのは、昨年同社の親会社が変わったからでしょう。新たに親会社となった「東京センチュリー」が事実関係を精査し、泥船から離脱するという経営判断を下したのだと思います。



NIPPOは「指定確認検査機関(=都市居住評価センター)が必要な注意義務を尽くさず、漫然と変更確認処分を行ったことについて、都が責任を負う立場にある」として事業完遂に必要な約107億円を都に請求しています。

ただ経緯を見ると、建築確認に関する係争中かつ建物の絶対高さ規制(計画より5m低い)の実施を十分認識しながら、NIPPO側はリスク承知であえて建築工事(竣工すれば即、既存不適格物件となる)や販売を始めています。
建築確認取消しもあり得るなか、高さ規制施行前の駆け込みで工事を開始し建物が完成したため、計画修正(避難階段整備)や建築確認取り直し対応など出来なくなったのが痛いです。

この訴訟で、NIPPO自らが選んだ指定確認検査機関(都市居住評価センター)の、建築確認における過失に基づく賠償責任を東京都は問われています。しかし、指定確認検査機関は民間であり、都が直接指揮監督をしている訳でもない(当然ダブルチェックもしない)のです。

ゼネコンなどが出資する指定確認検査機関は、特定行政庁よりも法の解釈が甘いとも言われています。それでも都に責任があるとなると、モラルハザードを招いたりしないのかと思います。

その他論点はいろいろありそうですが、検査員の注意義務違反の有無が焦点になるのでしょう。
ただ、今までのNIPPOのスタンスから考えて、この訴訟も長期戦となるかもしれません。

以前、(大阪)北区南森町で各社のマンション開発を観察する機会があり、事業主毎の開発スタンスの違い(街づくりへの思い入れや地歴理解度の違い)に驚いたものです。現地の歴史や文化を深く学び、街と調和のとれた魅力あるマンションに仕上げるべく工夫をこらすマンションデベロッパーと、それらに全く無関心な(と思える)内向き(プロジェクト遂行)志向の事業主が混在しているのが新築マンション分譲事業の現実と知りました。

(過去記事:小石川のマンション建築確認取消し巡る訴訟、事業主敗訴






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