大和ハウスの建築基準法不適合と内部統制

大和ハウス工業が、全国の住宅(戸建て・アパート)のうち2,000棟が建築基準法に適合しない可能性があると発表しました。耐火性能が不十分なほか柱や基礎構造に仕様の不適合があったということです。
コストカットのため会社ぐるみで建築基準法違反に至ったレオパレスほどの悪質さはないとはいえ、問題発覚の経緯やその後の動きをみると、大和ハウス社の危機感のない対応は批判されて当然です。

今回の施工不備は、2年半前の2016年12月に社員から違反事実の内部通報があり2017年2月には当時の社長まで報告が上がっていました。にもかかわらず本格的な社内調査を開始するのは、何と1年半後の2018年7月からでした。

この種内部通報があれば、初動で迅速に状況把握し方向性をだすのが鉄則です。1年半も放置状態(?)というのは、社内では深刻な問題とは受け止められていなかったということでしょう。内部通報がうやむやにされた社員は結局、依願退職してしまっています。

どうも、レオパレス21によるアパート施工不良スキャンダルが大きな社会問題化して、あわてて社内調査委員会を立ち上げたような印象です。こんな進捗の悪い内部通報への対応は、最大手ハウスメーカーとして危機管理やコンプライアンス意識が欠如していたと言わざるを得ないです。

事実経過
内部通報経過

社内調査の緩慢さとともに、施工不備発表のタイミングも疑問です。消費税増税駆け込み需要に水をささないよう3月以前を避け、4月にもってきていると勘ぐれます。消費税増税は10月からですが、戸建てやアパートなどの工事請負契約は3月末までに締結すれば、10月以降の完成でも旧税率8%が適用される経過措置があります。

もし3月以前の早い時期にこの建築基準法不適合ニュースがでていたら、ハウスメーカーとして営業上大打撃だったでしょう。企業にとってダメージコントロールは重要です。しかしコンプライアンスとの兼ね合いも大事で、特に「安全性」にかかわる事項は迅速な開示・対応が必要だと思います。

大和ハウスニュースリリース:戸建住宅・賃貸共同住宅における建築基準に関する不適合等について

◆建築基準に関する不適合の概要

今回の建築基準に関する不適合は2点あります。
1つは、2階廊下を支える柱です。 

柱
L字型柱に関しては防火安全性が不十分なため防耐火処置の改修工事(補修工事は割と容易)が行われています。L字型柱にしたのはデザイン面での理由と思われます。

2点目は独立基礎の仕様で、高さが認定仕様と違うということです。大和ハウスは安全上問題なしと強調していますが今後の対応はそれぞれの特定行政庁との協議になるのでしょう。

独立基礎
独立基礎2

(大和ハウスの補足説明資料)

◆ハウスメーカーの不祥事はなぜ多い

大和ハウスは3月にも中国合弁会社の巨額不正(約234億円の使途不明金)発覚で、ガバナンス体制の甘さを露呈しました。ライバルの積水ハウスも昨年地面師詐欺事件で大きな失態を晒しました。この住宅メーカーのトップ2社には不動産業界でも特異な共通点があります。それは、創業以来住宅営業畑出身者が社長になるということです(現在の社長は非住宅営業出身)。

結果として、ハウスメーカーのツートップは売上げ至上主義・内向きで上司に忖度する組織風土になっていたと思われます。消費者側にとっては、一生一度の大きな買い物、住宅建設に際しては大手といえども任せっぱなしにせず、自分でも最小限の知識をつけておくことが重要な気がします。






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