スルガ銀以降も続く不動産業者の融資資料改ざん

スルガ銀行のシェアハウス融資問題発覚以降、預金残高証明や源泉徴収票、賃料や入居率データなど不動産融資に係わるエビデンス改ざんの不正手口が次々と明るみにでて来ました。
スルガ銀行は一部業務停止など厳罰をうけ、西武信金などには金融庁の立ち入り検査が行われます。

一方、資料改ざんを実行し荒稼ぎをした不動産業者の方は問題が発覚してからも、性懲りなくスルガ銀行以外の三井住友銀行やりそな銀行に偽造資料を持ち込み、不正な融資を受けていると報道されています。

スルガ銀行(静岡県沼津市)でシェアハウス融資を巡る不正が相次いだが、
同行の問題が明らかになっていた今春以降も、他の金融機関の不動産投資
向け融資で不動産業者が資料を改ざんして多額の資金を引き出す不正が続
いていることがわかった。
金融機関は審査を厳格化してきたが、チェック態勢が不十分で、不正を防
ぎきれていない(朝日新聞)

資産残高資料改ざんによく使われるのが紙の通帳のないネット銀行(のスクリーンショット)なので、改ざん防止のため、銀行店頭でウェブサイトにログインし融資担当者が預金残高を確認するようにしたところ、今度は偽ホームページを作成しそこにログインして水増しした資産残高を見せていたということですから、その執念に呆れてしまいました(顧客も共犯?)。

異常ともいえる低金利が続くなか、不正が横行してバブル気味だった不動産投資マーケットは融資環境が激変しています。金融機関のエビデンスチェックが厳しくなり、一部不動産業者が当たり前のようにやっていた二重契約書でのフルローンなどの不正は出来なくなるでしょう。今後は無警戒に悪徳不動産業者(とコンサルタント?)にひっかかるような買主は減り、売り物件は増え、価格も下落するなかで徐々に普通の不動産投資市場に戻っていくものと思います。

◆エビデンス偽造は不動産業者に蔓延している

新築アパート投資をする顧客から受け取った融資資料を改ざんする不正が判明した、東証一部上場の不動産会社「TATERU」社の株価を久しぶりに見ると、今年4月につけた最高値2,549円から410円へと大暴落していました。投資家も大きなダメージでしょう。

「TATERU」は、IoTでアパート経営などと不動産テック企業を謳いながら、実は創業期からこんな単純な(フォトショップで融資残高を高く書き変える)不正が行われていた訳です。不動産の知見も実務のノウハウもないのに、一時ブームになっていた「不動産テック」と称する企業群のクラウドファンディングにも注意が必要です。

不動産投資市場において、賃料や入居率などのデータをねつ造・改ざんはタブーだと思っていました。それを偽造したら「不動産価格」や「利回り」などがとんでもないことになるからです。
しかし、東証一部上場企業でも当たり前のように偽造が行われているのを見ても、この種不正は一部不動産業者で普通に行われているのでしょう。私文書偽造などを平気で行い顧客を借金漬けにする(納得している顧客もいるでしょうが)悪徳不動産業者にも金融機関同様、厳しいペナルティを科す必要があるような気がします。

◇高い利回りや入居率、サブリースなどを謳うものは自らも精査を

低金利で資金調達しているJ-REITですら年間配当率は平均で4%前後です。そのうち住居系リートだけで見ても入居率は平均95%位のはずです。賃貸の入居者は大体2~3年で退去しますが、リフォームや新入居者募集作業がありずっと満室というのは無理でしょう。実際に管理に関わった一棟マンションでも、入居率90%を維持するのは並大抵でないことを体験しました。

それらから考えても、サラリーマンが片手間の不動産投資でリスクなしで高利回りを享受しようとするのは危険ですし、長期の満室保障などサブリース契約は詐欺に近いものもあるはずです。不動産投資に当たっては、その物件が長期的に見て本当に投資適格物件かどうかの見極めを、自らでしっかり行うべきです。

(過去記事:不動産テックで成功する企業はあるのか





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