新築マンション市場に暗雲、近畿圏は投資需要急減の兆し(5月)

近畿圏の新築マンション市場動向5月度が発表されました。発売戸数は前年同月比14.8%減の1,480戸、ファミリー層向け物件初月契約率が63.5%とかなりの落ち込みです。(6月14日不動産経済研究所)

同時に発表された首都圏も、初月契約率60.3%(ワンルーム~1LDKタイプ除く)と大不振で、新築マンション市況は深刻さを増しています。市況悪化の原因は、首都圏が価格高騰で、近畿圏は投資需要の剥落によるものです。

近畿圏は、4月に投資用1Kタイプ販売が急減、5月は高価格帯物件で初月契約率下落と、3月以降悪い流れが続きます。5月の低迷は、市場を牽引する大阪市でのファミリー向け物件供給数が前年同月比半減(461戸→245戸)し、かつ契約率が大幅に悪化(77.4%→65.3%)したことが大きいでしょう。

下のグラフは5月度の価格帯別での初月契約率前年同月比較です。東京に比べ割安感があるとして、大阪都心部の億ションなど一部高価格帯物件に流入していた、投資マネーが減りはじめたようです。
5月度は、2500万円以下のワンルーム系投資物件も発売数は減っています。

価格帯別グラフ

もともと近畿圏のマンション市場は投資用物件の割合が多いうえ、首都圏からの投資も活発でした。しかし、これら仮需が潮目の変わり目にさしかかっています。地下鉄御堂筋線駅直結タワーマンションなど、交通利便性だけで首都圏投資需要を集めていた物件の販売は停滞するでしょう。

2500万円以下物件の初月契約率・契約戸数(2018年)。5月の契約戸数が相当な減になっています。

・1月:99.4%・327戸
・2月:98.4%・426戸
・3月:79.5%・411戸
・4月:73.6%・451戸
・5月:82.4%・295戸

首都圏と近畿圏の初月契約率(投資用除く)推移です。分譲主は大手マンションデベロッパーが殆どなので、在庫が増えても当面、価格変更などは期待できないでしょう。

契約戸数

ただ、首都圏も近畿圏も初月契約戸数が伸びないことが問題です。分譲マンション事業としては、ボリュームゾーンのファミリー層向け物件契約戸数をある程度確保しないと、部門利益が出せません。しかし、5月初月契約戸数は、前年同月から大きく減少しており販売長期化懸念もあるという状況です。

契約戸数

マンション事業の売上げ計上は引渡しベースなので、現在の低調な契約状況が継続すれば、1~2年後の決算を直撃します。オフィス好調で最高益を更新する、大手不動産といえども、あまり楽観できない局面だと思います。

近畿圏の実需向け物件(投資用=1K/1DK/1LDKを除く)の発売数・契約率推移。3月以降初月契約率70%をクリアできない流れが続きます。

実需向け契約率

近畿圏2018年5月度の新築分譲マンション主要指標。

・発売戸数   1,480戸(前年同月比14.8%減)
・契約率    69.5%(前年同月比10.4ポイントダウン)
・1戸当り価格  3,868万円(前年同月比8.3%アップ)
・1㎡当り単価  64.4万円(前年同月比3.9%アップ)

2019年秋の消費税再増税を前に、新築マンション市場は非常に難しい状況を迎えていると言えます。






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