ソニー不動産4期目でようやく営業黒字、上場準備も

ソニー不動産が会社設立から4年で、ようやく営業黒字に転換です。(6月20日付官報)
平成30年3月期決算は、昨年7月の売上高通期予想、27億7千万円には届かなかったものの売上高約26億円、営業利益は1億9,700万円という実績でした。

ただ、アベノミクス下の不動産市況追い風のもと、不動産テック系仲介会社に36億円の資本を投入してこの決算では、サプライズがありません。ソニー不動産のHPには、リノベ再販や買取サービス(買取転売)、賃貸管理などが積極的に訴求されていますが、核になるはずの不動産仲介が振るわない状況なのだと思われます。

マンション売物件獲得に特化した「片手仲介」のビジネスモデルでは、安定的に一定の収益を上げ続けるのは無理です。ソニー不動産は、不動産流通市場の透明性や公平性形成に挑むと宣言していましたが、今後は不動産流通とは別のサービス(不動産販売やプロパティマネジメントなど)で稼ぐ普通(?)の不動産会社になっていくと思います(既にそうなのかも知れませんが)。

決算公告

決算公告3期分を見ると、売上原価が変動しています。手数料収入が主となる不動産仲介業では、かからないはずの売上原価の計上額が増えているのは、物件買取などに業態の軸足をシフトしている可能性があります。

決算三期比較

相変わらず、不動産業平均を大きく超える売上高販管費率です。普通のスタートアップ企業では到底出来ない経費の使い方で、事業はまだ安定軌道に乗っていないのでしょう。

2017年3月期仲介手数料ランキング表に、ソニー不動産を当てはめてみました。例えば東急リバブルはこの表の仲介手数料収入以外に、当該年度約300億円の営業収入が別途あったりするので、上位3社は別格の存在です。

手数料収入

ソニー不動産分は総売上高=仲介収入としていますが、実際には仲介収入は売上高の半分程度の可能性があるので一番下あたりにくるかもしれません。

売上高と営業利益のグラフ、規模が全然小さいです。ただ、馬鹿げたメディアへの露出が減り、会社としてのベクトル合わせが出来てきているようには感じます。地味な管理業などでコツコツ稼ぐ会社になるかも知れません。

3期グラフ

C2Cの「おうちダイレクト」は成長エンジンになれるか

高額かつ個別性が強く、瑕疵担保の問題などがある中古マンションの個人間売買をEC上で完結させることは極めて難しく、取引経験のない個人にはハードルが高すぎます。やはりソニー不動産とヤフーのマッチングサービス「おうちダイレクト」が、今後大きく伸びる可能性は低いと言わざるを得ないでしょう。

なお、「おうちダイレクト」のサイトでは、賃貸中の投資用物件(オーナーチェンジ)の扱いが非常に多くなっています。このオーナーチェンジ物件は、室内を内見できないというリスクがあります。
入居前の写真はあっても現況は把握できません。中古マンションを見ないで買うというのは普通考えられないので、成約があるとしたら、買主はプロまたはセミプロの人でしょう。それでは裾野が広がらず、投資用物件からの収益も限定的なものにとどまると思います。

進む上場準備作業

2020年までにという、上場準備のほうは着々と社内準備が進んでいます。決算公告の前日にソニー不動産による、株式分割の公告(1株→100株)がありました。これは上場準備の一環で、一定の株主数を確保するためのものです(マザーズなら200人以上)。

株式分割

また昨年すでにストックオプション制度も導入済で、かつ監査等委員会設置会社として、コンプライアンス・ガバナンス機能強化も図られています。新興市場「マザーズ」等はハードルが高くないので、上場自体は問題なくできるでしょう。

ソニー不動産の上場準備は、順調に進んでいますが、上場後の成長戦略をどう描くのかが問題です。






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