ヤマダ電機の危険な不動産事業シフト

「ヤマダ、執念の住宅事業 リフォーム人材を社長起用へ」という、ヤマダ電機の社長人事に関する報道がありました。新社長(6月下旬就任)はエディオンなどを経て2017年にヤマダ電機に入り、家電と住宅商材の複合店を担当。住宅子会社などが苦戦するなか、家電と住宅関連商材の相乗効果発揮を狙う(日経新聞)とのことです。

家電量販最大手ヤマダが、住宅リフォーム事業に精通した新社長のもと、新業態「家電住まいる館」を積極展開するという大胆な不動産シフトで勝負に出ることに驚きました。まさしく不動産事業にかける執念を感じます。

ただ、住宅関連事業と家電販売との相乗効果で、高い業績目標をクリアするというのは無理があります。業績回復のエンジンにしたいヤマダの不動産事業は、不振が続いており力不足なうえ、そもそも家電と住宅事業とのシナジーは期待できません。相乗効果がないのは、ヤマダ電機の店舗にコーナーを(駐車場にモデルハウスも)設けたりした住宅メーカー「ヤマダ・エスバイエルホーム」の散々な業績を見れば歴然です。

ヤマダ電機売上経常利益

「家電住まいる館」というのは、家電、家具、インテリア雑貨の販売のほか、リフォーム、不動産販売にも対応する業態の店舗で、19年3月期に従来店舗の約100店(この規模なら試行錯誤の段階かもしれません)を家電住まいる館に転換する計画です。しかし、力を入れたい「リフォーム市場」は競合激しく、地場工務店などとの競合に打ち勝って大幅な収益向上に繫げられるほどの規模の市場ではありません。

また、家電住まいる館には、不動産仲介新会社「ヤマダ不動産」が出店するということですが、これも収益貢献に至ることはないでしょう。首都圏のイオンモールで、不動産仲介「イオンハウジング」というのがありますが、買い物ついでに不動産の相談という行動は多くないと思います。不動産仲介は地域密着の熱血営業が必須で、ポイント還元で手数料割引という差別化を訴えても、「待ちの営業」では成果をあげることは厳しいです。

ひたすら規模拡大を追求して成長したヤマダ電機、少子化、地方不振で規模の大きさが逆に足かせになり本業が伸び悩む状況で、生き残りをかけての不動産事業参入は間違いではないでしょう。

しかし、ヤマダ式マネジメントで自社資源(店舗・販促チラシ・ポイント)を活用・相乗りして事業展開する手法は、いかにも中途半端で安易すぎる気がします。例えば、ヤマダの家電折込みチラシに不動産情報を掲載し、何十万部配布しても物件問い合わせは殆どないと思うのですが。

要するに、ヨドバシカメラのあるような駅前一等地で不動産賃貸的ストック型不動産事業ならまだしも、フロー型の住宅関連事業は難易度が高いのです。

ヤマダ電機とソニー不動産の失敗共通点

個人的な見方ですが不動産業新規参入失敗例と考える、ヤマダ電機とソニー不動産の事例には共通点があると思っています。

・プライドが高い(ブランドイメージ過信)
・強者の戦略でのぞむ
・消費者目線での発想不足
・不動産業は人材業との理解不足
・販促手法など自社マネジメント手法へのこだわり
・現場で汗をかく営業はなし(多分)
などです。

1つ1つ違う不動産を扱うには、大量生産、大量販売(薄利多売)とは対極にある繊細さが必要です。ヤマダに染まっていないトップで、「ヤマダ流」ではないやり方で局面打開といけばいいのですが。

(過去記事:ソニー不動産は創業から3期連続赤字に






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