帝人ビル売却を検討、売却先候補はJR九州

読売新聞、日経新聞と続けて帝人の大阪本社が入る「帝人ビル」売却に関する記事が出ました。帝人ビルの土地・建物を売却し2017年春をめどに中之島などへの移転を検討しているという内容です。

帝人の実質的な本社機能は既に東京本社に移っており、1974年築で老朽化が進む大阪本社ビル(17階建て・地下3階)を売却し事務所を移転するのは自然な流れです。ただ売却先候補が「JR九州」というのは少し意外な感じがしました。報道の通りJR九州がエリア外の関西で帝人ビルを取得するのなら、同社が今年10月に予定する東京証券取引所への上場がその背景にあると思われます。

順調にいけば今秋東証一部上場となるJR九州の問題点は、営業利益はそれなりに大きいものの財務基盤がやや脆弱なところです。本業の鉄道部門は全体の37%を占める売上高がありながら在来線に不採算路線を抱えるため赤字続きの状態となっています(先期は経常利益5億円と少しプラスになりましたが)。そのため収益を駅ビル・不動産事業に大きく依存するという、鉄道会社としてはいびつな収益構造になってしまっています。同じJRでもJR西日本が、営業利益の約69%(1,251億円)を本業の運輸業で稼いでいるのとは対照的な状況です。

JR九州の平成27年度セグメント別経常利益です。

JR九州円グラフw2

九州新幹線は好調でも、それだけでは鉄道サービス部門の大きな収支改善が見込めないなか(熊本地震の影響がでる今期は特に厳しいはず)上場後の安定的な利益確保のためには、事業多角化を進め不動産部門の事業領域拡大を急ぐのは当然かもしれません。すでに首都圏などでホテル運営など積極投資を始めています。

JR九州における平成27年度駅ビル・不動産セグメントは、売上高620億円で経常利益205億円と非常な高収益を実現しています。ただ、沿線でのマンション分譲などの成功は安心・安全イメージがある地元「鉄道」会社への信頼がプレミアムとして大きく寄与しているはずです。今後同社が知名度のない首都圏や関西圏に進出し、九州地区と同じように不動産事業を成功させるためには、市況の変化にも対応できるシビアな「不動産に対する目利き」が不可欠になるような気がします。

報道では、帝人ビル跡はマンションかホテルかになる予定とありましたが、堺筋本町駅至近でも南本町1丁目のこのあたりは阪神高速のすぐ横という立地であまり明るい雰囲気ではありません。大規模なタワーマンションは、投資用に需要はありそうですがファミリー層にはやや厳しいかもです(本町の旧大阪府商工会館跡を当時としては高額で落札した東急不動産のタワーマンションは苦戦?)。JR九州も手掛けているビジネスホテルとマンションとの複合型のほうが現実的なように思えます。

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ホテルに関しては、大阪の宿泊施設客室稼働率は全国一が続いています。日本最大のLCC拠点関空があり、かつ近場の京都など観光資源に恵まれていることが効いています。
6月推計訪日外国人数(日本政府観光局が20日発表)が、大きく伸びており、「爆買い」は姿を消しましたが訪日外国人数は安定的に増えていきそうです。ホテル不足をうけて、大阪市の北区や中央区は猛烈なホテル建設ラッシュでバブルのような気もしますが、東京五輪に合わせまだまだホテル開発が続きそうな気配です。

客室稼働率-w



堺筋側からみた帝人ビル。
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中央大通り側からです。
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帝人ビルには堺筋本町駅出口から専用通路もあるようです。
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[追記:昨日8月3日正式にJR九州が帝人ビル購入という報道がありました。用途がマンションというのはやや意外でした。建物引渡しが来年7月頃で、そこから建物取り壊しなどあり着工はかなり先のようです。リードタイムが長いのでマンション市況の変化には要注意だと思います。]





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