中古マンションの売出し価格と取引価格のかい離

昨日(8月21日)の日経新聞朝刊で、「中古マンション一段高」首都圏7月1.9%上昇とありました。不動産調査会社の東京カンテイが発表したものです。新築分譲マンションが高騰しており中古マンションも価格が上がってきているなと記事を読んでいましたが読み終えてから、ここでいう「価格」は中古マンションの「売出し価格」のことだと、気が付きました。(記事には説明がなく、取引価格と勘違いした人も多かったはず)

新築物件と異なり、中古物件売買では、殆どの物件に指値が入り価格含む取引条件交渉のうえ成約に至りますので、指値なしの例外的なケース以外、実際の取引価格(成約価格)は売出し価格よりも低くなるのが普通です。

中古住宅売買でどの位、出し値と決り値に差があるのか、2011年に東京カンテイが発表した中古マンションの場合の資料をもとにグラフ作成しました。やはり価格交渉=値切りに慣れている(?)関西の方が首都圏より売出し値と決り値の乖離率=値引き率が大きくなっています。ただ関東でも当然、価格交渉は入っています。

2011年東京カンテイ発表の中古マンション「売出し価格と実際の取引価格のかい離」から作成したグラフ(出典:不動産ジャパンのサイト)
売出し成約乖離

売り出してから成約までの期間が長くなるほど、値引き率が大きくなっているのがはっきり分かります。時間をかければ、より良い買手が現れると思うかもしれませんが現実は逆です。時間をかければかけるほど売主は不利になるということです。、中古住宅売買は「鮮度」に尽きるということでしょう。

上記データ概要説明(住宅新報web)によると、首都圏の中古マンションの場合、売出し物件の約半分が1ヶ月以内に成約しているとのことなので(個別性が強い中古戸建の場合はもう少し時間がかかっているはず)短期決戦の中古物件売買は、「初動」が極めて大切ということになります。

 首都圏の中古マンションの場合
・1ヶ月以内に全体の約48%の物件が成約。価格かい離率-3.8%。
・6ヶ月以内に全体の約89%の物件が成約。価格かい離率-14.8%

なお、関西で売出して1ヶ月以内に成約した中古マンションの価格かい離率は、-4.8%となっていますので、実際の買主側指値はもう少し大きいはずです。大事なことは、新しく仲介市場に出たばかりの物件でも、仮に2500万円の物件の場合なら例えば130~180万円位の指値をされることがあり、値引き交渉の後、最終的に売買価格が決まっていくという事実です。それでも売主は、売出し期間が長引くほど、大きく値引きせざるを得ないので出来るだけ短期での成約を目指すのがベターなのでしょう。

近畿圏の中古マンションの年平均価格かい離率(平成13年から平成23年8月)までのグラフ
乖離グラフ-1

最近、ヤフー&ソニー不動産が「住宅を個人で値付けして売り出せる」サービスの提供を始めるとのニュースがありました。ただ中古物件売買は上記グラフにあるように、初動の値付けをミスすると長期滞留し悲惨なことになる可能性大です。不動産売買は相手がいて初めて成り立つものであり、売主側の安易で欲張った値付けは危険だと思います。

不動産売買に関しても、メディアで声高に言われているようなことには、何かの意図があるものが多く、鵜呑みせずに冷静に判断することが必要だと思います。真にユーザーから支持されている仲介業者は、高く売りますとか、○○のミカタなどと美辞麗句を謳うようなことはせず、黙って粛々と業務を行ない着実に成果をあげているはずですから。
(参考記事:ヤフー&ソニー不動産、中古住宅の個人売買


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