東急ハンズ賃料減額訴訟は和解

東急ハンズ心斎橋店がテナントとして入居する「大阪心斎橋8953ビル」の賃料減額訴訟が和解となりました。訴訟は、平成21年11月東急ハンズが当該ビルの信託受益権者日本リテールファンド投資法人(以下「JRF」)を相手取って提起(大阪地裁)したものです。(信託受託者は三菱UFJ信託銀行)

平成20年9月のリーマンショックという大きな経済情勢の変動をうけ、民事調停を経て始まったこの訴訟(調停前置主義)は、5年たってようやく一応の解決をみたということです。ハンズ心斎橋店は大阪市内第1号店で、平成11年のビル竣工時から1棟全体を借りるテナントとして営業してきました。やはり長期契約の建物賃貸借契約においては、経済状況の急変などがありその継続賃料の妥当な評価というのは、本当に難しいものだと改めて感じます。

なお、本訴訟で大きな争点となったのは、リーマンショック直後の覚書による「平成20年2月以降3年間賃料据置」という特約の有効性有無だったと思われます。この約定がJRFにとって拠りどころの1つなのですが、賃料据置特約は不減額特約でもあるので、賃借人に不利になりその部分は無効という解釈もある訳です。またリーマンショックによる経済状況悪化をどう位置付けるのかなど大変気になる訴訟ではありました。
ハンズ訴訟時系列-2

ハンズ心斎橋店は地下鉄心斎橋駅から徒歩4分の所です。またJRFは、長堀通の南側、心斎橋筋にGビル心斎橋02(テナントはザ・スーツカンパニー)とGビル心斎橋03(テナントはユニクロ)を資産として保有しています。
東急ハンズ地図

下記が当該ビルの概要です。
平成13年3月の取得価格143億円の内訳は土地約99億、建物約44億となっています。土地価格は単純計算で約1,800万円(坪)ということになります。また年間約8億円の賃料収入があります。逆算すると、延べ床面積に対する月額賃料坪単価は、15,600円程度と推測されます。
8953ビル-2

東急ハンズは梅田店(大丸梅田店内)、あべのキューズモール店と出店したので、同じ御堂筋線沿線に位置する心斎橋店は、挟み撃ちにあうような恰好で苦戦しているのかもしれません。ただし店の規模としては心斎橋>>梅田>あべのキューズモールです。

今回の和解の主な内容は以下のようになりますが、JRFにとっては同社ニュースリリースにあるように、東急ハンズ側から相当の譲歩を引き出せたので、解決金も含め想定内の決着だったように思います。

(1)平成26 年12 月1 日以降月額賃料等を現行比▲10.45%とする。
(2)次回賃料等の改定可能日は平成29年12月1日(以後3年毎)
(3)JRFは、解決金438 百万円を東急ハンズに支払う。

これで平成29年12月1日までの3年間は賃料等の改定不可期間ですからJRFとしては、当面大幅な賃料減額リスクがなくなりました。また別途、契約解約不可期間というのがあるかも知れません。JRFのような商業施設特化型投資法人は比較的安定しているのですが、テナント代替性が低く、テナントの退店が収益に大きな打撃を受けるので、退去リスクが顕在化しないよう日々危機感をもって対処しているでしょう。

ハンズの心斎橋店に本当に久しぶりにいきましたが、消費不況のためか、以前のように地下1階~8階全フロアを使っているのではなく、8階と地下1階を転貸していました。8階にKAWACHI(画材・デザイン用品)地下1階は喜久屋書店(ジュンク堂と同根の書店)が入っています。

東急ハンズ

地下1Fの書店は、上階からのシャワー効果はなく、殆どお客もいなくてとても厳しい状況のように感じました(業種にかかわらず難しいと思われる)。エントランスのクレープワゴン車は人気でした。

クレープ屋

ハンズの帰途、心斎橋筋で大勢の中国人観光客を見ましたがすごいです。先日も出張でホテルが取れず、某ビジネスホテルに2万円台で泊まらざるを得なっかったという話が頷けるような、外人観光客の多さでした。

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