新築マンション、都心タワマン発売なくコンパクト型中心(近畿圏8月)

近畿圏の新築分譲マンション市場8月度は、投資用のワンルームなどコンパクト型(1K~1LDK)が全供給数の52%にあたる698戸を発売、うち672戸を発売月に契約(契約率96.3%)するなど市場を席捲しました。(不動産経済研究所)。

8月のタイプ別供給戸数。1DK・1LDKのターゲットは投資家や単身者、2LDKはDINKSなど。
円グラフ
一方、それらコンパクト型以外では大阪市中心部の超高層タワーマンションの発売がなかったため、8,000万円超物件の発売は僅か3戸だけという珍事となっています。1億円以上の物件の契約ゼロというのもここ何年か記憶がなく、高価格帯が爆発的に売れた7月とは様変わりでした。

価格帯別

6,500万円~8,000万円の物件の契約率が良いのは、先月に続いてプラウドタワー堺東の好調販売によるものでしょう。

1K~1LDKタイプ除く一次取得者層向け物件は、発売数が多くないものの初月契約率が72.5%とまずまずの好調さを維持しました。消費税増税の影響は限定的だったようです。

実需向け

投資用除いて発売月に契約できた戸数推移。
初月契約数

また、一時1,000戸を大幅に上回っていた近畿圏の完成在庫も、徐々に減って880戸になっています。9月末までの引き渡しが可能ということで(こちらは消費税がらみで)動いているのかもしれません。

完成在庫

しかし何といっても新築マンション市場8月度のニュースは、低迷続きの首都圏が80%近い初月契約率で久しぶりに近畿圏を上回ったことでしょう(1R~1LDK除く)。人気の晴海フラッグ600戸売出しが効きました。

首都圏近畿圏

近畿圏8月度諸指標(投資用含むので参考指標)、例年どおり当月は発売数が少なめ。契約率が高いのと、1戸当り価格の大きなダウンは、コンパクト型投資用物件の発売が増えたからです。
ただ、ファミリー型よりスペックが落ちる投資用が増えても㎡当り単価がさほど変わっていないのは、それらの建築費が割高とも考えられます。

・発売戸数   1,341戸(前年同月比2.7%減)
・契約率    84.9%(前年同月比4.3ポイントアップ)
・1戸当り価格  3,054万円(前年同月比14.8%ダウン)
・1㎡当り単価  65.5万円(前年同月比2.8%アップ)

10月以降、超高層タワーマンションの発売が増えれば、関西の新築マンション市場も昨年と同じく年末にかけて盛り上がっていくでしょう。






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レオパレスの入居率下落、歯止めかかる気配なし

単身者用賃貸アパート大手「レオパレス21」が発表した8月入居率は、計画から約4ポイント低い80.21%(前月から0.46%減)となり、昨年春の施工不良問題発覚から続く入居率下落に歯止めがかかりません。

レオパレス社の収益の柱は賃貸(サブリース)事業であるため、入居率が極めて重要な指標となります。しかしこの流れではサブリース契約の損益分岐点(逆ザヤとなる)と言われる、入居率80%を9月に割り込むのは確実な状況です。

入居率

同社の第一四半期決算(8月9日発表)では、営業利益△42億円(前年同期は41億円の黒字)と大幅赤字に沈みました。当初計画と大きな差異はないという楽観的な見立てもあるようですが、極めて厳しい状況にあることは間違いないと思います(遵法意識に問題ある会社なので、更なる悪材料が出る可能性も否定できない)。

レオパレスは従来、開発(アパート建築請負)と賃貸(サブリース)を両輪として業績を拡大してきた会社ですが、構造改革で近年は賃貸事業が同社の中心事業となっています。そこに、会社ぐるみ?の建築不正工事が大きく報道され、開発事業は更に低迷し賃貸事業一本足の経営となっているのが現状です。

ただ、開発事業が不振で新築物件を取り込めないというのは、賃貸・管理事業にとって良いことではありません。専有面積20~25㎡前後の単身者用アパートは、新築時には相場より1万円以上高い家賃(新築プレミアム)でも満室スタートでき、属性の良い入居者が集まり管理も楽というボーナスステージがあります。

そういったフレッシュな物件(新築プレミアムを享受できる)をラインナップできないデメリットが、時間とともに効いてくるのではないかと思います。経年で古くなり続ける物件を扱っていれば賃料は下がる一方で、かつ入居者のレベルも落ち管理面でも難易度が増すはずだからです。

下図はレオパレスの大まかなビジネスモデル。サブリース契約は借地借家法が適用され、物件オーナーよりサブリース業者(レオパレス)のほうが立場が強くなりうることに注意。

ビジネスモデル



下図はレオパレス社の決算報告補足資料の一部。派遣労働者の需要が高まった2012年頃から法人契約が増加しているようにも見えます。

属性

一般的に賃貸契約では、法人契約が多い(家賃補助がある、審査が通りやすいなど)のですが、法人契約が多いからといって賃貸経営が安定する訳ではありません。法人にはピンからキリまであり、超短期で退去とか、住んでいる人がよく代わり実態を把握ができないとか問題も多いです。

少なくとも、居住性能に関し色々言われているレオパレスのアパートを、あえて社宅(?)にするという企業が多くあるとは(個人的には)とても思えません。

旧村上ファンドの「レノ」が、レオパレス株の一部を売却しました(9/6日経新聞)。保有割合16%強から約10.5%に減らしています。約16%保有時の平均取得単価が233円ということなので、レノはそれなりの利益は得ていますがやや拍子抜け感もあります(9/11終値286円)。
村上世彰さんは「単身世帯向けアパートの需要は手堅い」と言っていましたが、見方が変わったのでしょうか。

単身世帯が増えその賃貸需要は伸びているのは間違いないものの、大阪の北区などで実感したのは、流通や飲食関係の若い女性の入居者が増えているというものでした。レオパレスは入居者の女性比率が約3割程度とまだ少ないようなので、そこを引き上げられるかが課題だと思います。

ところで最近の報道では、レノに代わって投資会社アルデシアインベストメントが保有割合を15%超まで高めてきているようです。当面レオパレス21の株価から目がはなせません。

(過去記事:レオパレス21の施工不良問題と深刻さ







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モデルルーム来場急減、マンション市場は一段と中古にシフトか

土地総合研究所が、7月1日時点の「不動産業業況等調査結果」を発表しました。四半期ごとの1月、4月、7月、10月に三大都市圏及び地方主要都市で不動産業を営む業者を対象に実施されているものです。

そのうちの「住宅・宅地分譲業」で驚くのは、モデルルーム来場者数と成約件数指数の急減です。新築マンション市場の先行指標であるモデルルーム来場者数は、前回調査(19年5月)時の6.1ポイントから△31.3ポイントに急落しました。

MR来場者数

これほど大幅な悪化は、消費税駆け込み需要の反動減によるものです。現在、高額家電はじめ衣料品など幅広く駆け込み需要が発生していますが、住宅は他業種と違い3月末が(請負契約の関係で)期限だったのです。前回増税時ほど目立たなかったものの、新築マンション(=モデルルーム来場)にも駆け込み需要が相当あったのは間違いありません。

近畿圏5月の新築マンション契約戸数(投資用分除く)を再確認してみると、やはり3月の好調と4月の反動減が際立つ結果でした(5月には平常ペースに戻る)。

ファミリー物件契約率

7月1日時点でモデルルーム来場者数これだけ落ち込めば、8月の新築マンション市場はかなり厳しいと思います(例年8月は売出しも少なく低調な月ではあるとしても)。
反動減による停滞が免れないものの、短期に回復⇒秋商戦で急回復となればいいのですが。

◆マンション市場で取引の主役は、今や中古マンション

モデルルーム来場者急減には驚きましたが、近畿圏マンション市場においては、既に中古マンション成約数が新築マンション契約数を大きく上回っているのが現実です。実需(ワンルーム~1LDKの投資用を除く)の取引件数は中古が約3割ほど多く、新築マンションから中古マンションへのシフトが確実に進んでいるのです。

(新築はワンルーム~1LDK除く。中古は専有面積40~80㎡のもの)
新築と中古契約件数

上記グラフで中古マンション成約数も、2,3月に急増していますがこちらは、消費税がらみではなく季節要因でしょう。

近畿圏の中古マンションも新築マンションに連動して、2013年2月から78ヶ月(2019年7月)連続で成約㎡単価が前年同月をうわまっています。しかし、上昇幅は非常に緩やかで全体では坪単価約112万円程度に止まっており(大阪都心部はかなり上昇も)、新築マンション㎡単価の半分以下です。
下のグラフは近畿圏の過去2年分で、橙色の棒グラフ部分が成約㎡単価です。





新築マンション分譲業は用地取得に関し、地価上昇やホテル用地(最近はオフィス系などとも)との競合など苦しい状況が続きます。加えて建設費の高止まりや販売状況苦戦もあって、マンションデベロッパーは量より質に戦略転換を図っているので、当面供給量が大幅に増えることはないでしょう。

新築志向は根強いものの、リノベーション技術の進化などもあり、中古マンションへのシフトは止まらないはずです。







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