近畿圏新築マンション、投資需要に陰り(4月度)

近畿圏の新築マンション市場動向4月度が発表されました(不動産経済研究所)。発売戸数は前年同月比25.2%増の1,742戸、初月契約率は71%でした。ただし発売戸数大幅増は、投資用1Kタイプ激増(前年同月277戸→592戸)が要因で、実需向けマンション供給数は前年同月比4%ほどの減となっています。

4月度の価格帯別発売戸数・契約率では、2500万円以下の投資用物件と8000万円以上の高額物件供給増が目につきます。注目は、関西の新築マンション市場を席捲していた、「投資用物件」契約率が、3月、4月と続落していることです。

(2500万円以下物件の成約率:2018年)
・1月:99.4%
・2月:98.4%
・3月:79.5%
・4月:73.6%

4月価格帯別発売戸数・契約率です。
価格帯別グラフ

2017年年間通して初月契約率90.6%と驚異的な契約率を誇り、2018年に入っても絶好調だった投資用物件(2500万円以下)は、ここにきて市場の潮目が変わり市況急変ともとれる動きです。

投資用物件については、金利先高観や東京で話題の詐欺的シェハウス投資事件などもあり、投資家のスタンスが慎重になっていることや、関西地銀、信用金庫の不動産融資姿勢にも変化が出てきているのかもしれません。今後は投資用の物件選別がより厳しくなると思います。

一方、実需向け物件(投資用=1K/1DK/1LDKを除く)の発売数・契約率推移は、好調だった前年同月比では契約率が悪化しているものの、近畿圏としては発売数・契約率ともにほぼ巡航速度の状況だと思います。

実需向けグラフ

また3月までは比較的上昇基調にあった、首都圏マンション市場も4月は暗転しており先行き不透明感が出てきています。
首都圏と近畿圏の初月契約率推移です。

契約率推移

首都圏、近畿圏とも実際に当月契約できた物件数(投資用除く)も対前年同月比では増えていません。先月かなりの増加があった首都圏の契約戸数も、4月は前年同月比相当な落ち込みになってしまいました。東西とも今後もあまり楽観できない局面です。

契約戸数

近畿圏2018年3月度の新築分譲マンション主要指標。1戸当り価格前年同月比ダウンと1㎡当り単価上昇は2500万円以下の投資用物件が大幅供給増となったためです。

・発売戸数   1,742戸(前年同月比25.2%増)
・契約率    71%(前年同月比7.2ポイントダウン)
・1戸当り価格  3,825万円(前年同月比0.2%ダウン)
・1㎡当り単価  67.5万円(前年同月比8.5%アップ)

昨年1年間、異常に売れた投資用や高額物件の供給が増えていますが、投資マインドに陰りがあれば、去年並みの契約は難しいかもしれません。






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首都圏中古マンション価格高騰は本当か

Yhaooニュースで首都圏の中古マンション価格高騰がが取り上げられていました。アットホーム社の3月度データで「前月比3.6%上昇、前年同月比は24 か月連続の上昇」となったからです。

中古マンションの平均成約価格は3,014 万円、前月比3.6%上昇。前年同月比は24 か月連続上昇。価格指数は151.3 で1 月を3.3 ポイント上回り、再び過去最高に。
(「市場動向ー首都圏の新築戸建・中古マンション価格(3 月)」)

特に、価格指数が151.3にもなっていたので確認すると、2009年1月が基準(=100)でした。前年2008年9月に起こったリーマンショックによる落ち込みのあった時期で、ベースがやや低いので指数は高めにでます。

わかりやすいように、東日本レインズが発表した最新データで、東京都と神奈川県の中古マンション成約㎡単価の推移グラフを作成しました。中古マンション㎡単価は、リーマンショックや東日本大震災の影響での落ち込みを経て、2013年以降新築マンション高騰に合わせるように上昇が続いています。

ただ、この1年間は上昇幅は小さくなっています。また、神奈川県の㎡単価上昇が比較的緩やかで、東京都のそれが大きい(都内はもっと上昇)のは、都心回帰の流れや投資需要によるものと思われます。

東日本レインズデータ

なお、上記算出価格はその時点で成約した、築年数・専有面積・立地・スペックもバラバラな物件の単純平均したものです。ワンルームや1LDKのような投資用物件まで含まれているので、厳密さにはやや欠けると言えます。

当然ですが個別性の高いマンション価格の変動は、同一物件での成約価格を基にした定点観測方式で行うと、最も精度が高くなります。個人的に中古マンション価格の変動で参考にするのは、日本不動産研究所が公表する「不動研住宅価格指数」です。これは、東日本レインズの首都圏中古マンション成約価格情報を活用して、同一物件の価格変化に基づいて算出された指数で、2000年1月が100となっているものです。

この不動研住宅価格指数データで東京都と神奈川県の中古マンション成約価格推移をグラフ化しましたが、上昇率の高い東京都も2000年1月の水準に至っていません。

不動研データグラフ

◆今後も東京都の中古マンション価格は上昇を続けるのか

順調な東京都の中古マンション市場の今後を考えるために、市場で売りに出されている物件在庫数を見てみました。東日本レインズのデータでその推移を出すと、㎡単価の伸びに合わせて2016年以降在庫数が増えているのがわかります。

東日本レインズ価格と在庫

中古マンション市場で人気のある築浅物件の供給が増えるのかどうかにもよりますが、売り物件在庫増は㎡単価上昇の歯止めになりそうです。また投資需要や東京五輪景気で高くなった、都内高価格エリアの中古マンション価格も限界近いように感じます。いずれにしろ首都圏中古マンション価格が、今後も上昇するのか物件在庫数に注目しています。






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ヤマダ電機の危険な不動産事業シフト

「ヤマダ、執念の住宅事業 リフォーム人材を社長起用へ」という、ヤマダ電機の社長人事に関する報道がありました。新社長(6月下旬就任)はエディオンなどを経て2017年にヤマダ電機に入り、家電と住宅商材の複合店を担当。住宅子会社などが苦戦するなか、家電と住宅関連商材の相乗効果発揮を狙う(日経新聞)とのことです。

家電量販最大手ヤマダが、住宅リフォーム事業に精通した新社長のもと、新業態「家電住まいる館」を積極展開するという大胆な不動産シフトで勝負に出ることに驚きました。まさしく不動産事業にかける執念を感じます。

ただ、住宅関連事業と家電販売との相乗効果で、高い業績目標をクリアするというのは無理があります。業績回復のエンジンにしたい不動産事業は、不振が続いており力不足なうえ、そもそも家電と住宅事業とのシナジーは期待できません。相乗効果がないのは、ヤマダ電機の店舗にコーナーを(駐車場にモデルハウスも)設けたりした住宅メーカー「ヤマダ・エスバイエルホーム」の散々な業績を見れば歴然です。

ヤマダ電機売上経常利益

「家電住まいる館」というのは、家電、家具、インテリア雑貨の販売のほか、リフォーム、不動産販売にも対応する業態の店舗で、19年3月期に従来店舗の約100店(この規模なら試行錯誤の段階かもしれません)を家電住まいる館に転換する計画です。しかし、力を入れたい「リフォーム市場」は競合激しく、地場工務店などとの競合に打ち勝って大幅な収益向上に繫げられるほどの規模の市場ではありません。

また、家電住まいる館には、不動産仲介新会社「ヤマダ不動産」が出店するということですが、これも収益貢献に至ることはないでしょう。首都圏のイオンモールで、不動産仲介「イオンハウジング」というのがありますが、買い物ついでに不動産の相談という行動は多くないと思います。不動産仲介は地域密着の熱血営業が必須で、ポイント還元で手数料割引という差別化を訴えても、「待ちの営業」では成果をあげることは厳しいです。

ひたすら規模拡大を追求して成長したヤマダ電機、少子化、地方不振で規模の大きさが逆に足かせになり本業が伸び悩む状況です。そういうなか生き残りをかけての不動産事業参入は間違いではないにしても、ヤマダ式マネジメントで自社資源(店舗・販促チラシ・ポイント)を活用・相乗りして事業展開する手法は、いかにも中途半端で安易すぎる気がします。例えば、ヤマダの家電折込みチラシに不動産情報を掲載し、何十万部配布しても物件問い合わせは殆どないと思うのですが。

ヤマダ電機とソニー不動産の失敗共通点

個人的な見方ですが不動産業新規参入失敗例と考える、ヤマダ電機とソニー不動産の事例には共通点があると思っています。

・プライドが高い(ブランドイメージ過信)
・強者の戦略でのぞむ
・消費者目線での発想不足
・不動産業は人材業との理解不足
・販促手法など自社マネジメント手法へのこだわり
・現場で汗をかく営業はなし(多分)
などです。

1つ1つ違う不動産を扱うには、大量生産、大量販売(薄利多売)とは対極にある繊細さが必要です。ヤマダに染まっていないトップで、「ヤマダ流」ではないやり方で局面打開といけばいいのですが。

(過去記事:ソニー不動産は創業から3期連続赤字に






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