マンション管理顧客満足度ランキングに想う

スタイルアクト社「住まいサーフィン」が行った、マンション入居者による管理会社満足度調査結果に関する、ダイヤモンドオンラインの記事を読みました。(「マンション管理会社「満足度」ランキング、住民に選ばれる意外な条件」)

今回の管理会社満足度ランキング1位(全体)は、11年連続で野村不動産パートナーズ、2位は僅差で三井不動産レジデンシャルサービスという結果でした。

多岐にわたるマンション管理業務のサービスを、それぞれ状況が違うマンション入居者が短期で適切に判断することは難しいです。そのため、この満足度調査はランキング上位を何年間も続けて維持できているかどうかが重要です。11年も1位を守る野村不動産パートナーズや競い合う三井不動産レジデンシャルサービスは極めて優秀なマンション管理会社と言えます。

特に野村不動産パートナーズは親会社野村不動産の、製造・販売・管理一体で一気通貫というコンセプトが機能し、「プラウド」ブランド価値維持に管理面で貢献しています。

いずれにしても、労働集約型のマンション管理業において野村・三井のマンション管理2社のサービス品質が高く評価されるのは、質量共に優れた人的資源によるところが大きいでしょう。

ランキング表

野村不動産パートナーズや満足度上位常連の三井不動産レジデンシャルサービスは、東急コミュニティーグループや大京アステージグループ、あるいは独立系の日本ハウズイングのような規模拡大を志向していません。新規の受託は親会社の分譲分だけに絞っているようです。

フロント要員などのスキルアップ・育成は短期では出来ないので、バラつきのない高いサービスレベルを維持するために、無理な拡大戦略はとらないということでしょう。またマンション管理業で規模のメリットは大きくないという認識(これは正しい)によるものでしょう。

また、今回大きくランクアップした、穴吹コミュニティや近鉄不動産管理は、昨年6位から12位にダウンしたモリモトクオリテイと同様、来年も高順位にいるかどうかは微妙だと思います。規模の小さな管理会社はどうしても人材が不足がちで、安定したパフォ-マンスを発揮するのは大変だからです。

なお、三井不動産レジデンシャルサービス社については、ナショナルワイドではなく首都圏と名古屋圏を営業エリアとする会社で、関西エリアでは同じ三井不動産グループの「三井不動産レジデンシャルサービス関西」が活動しています。




フロントの処遇改善は重要

マンション管理組合業務は殆ど対人業務なので、マンション管理会社の経営資源はノウハウをもつ「人」に尽きるのですが、ハードワークをこなすフロント業務担当者=フロントの処遇は一般的にみて決して良くないのです。

フロント職は、新卒では配置させられない位厳しい職種です。社会経験をもつ相当な人間通でも理事会対応は大変で拘束時間も長く激務のため、退職・他社移籍は頻繁にあります。
しかも管理組合から信頼される有能なフロントほど、併行して担当する管理組合数(普通1人が15~16組合位を担当?)を増やされ、潰れてしまうという話もよく聞いたりします。、

不思議なことに管理会社にとっては、管理組合から信頼されるスーパーフロントやスーパー管理員的な人材は、好ましくない存在とされていました。しかし今後、清掃や受付業務のロボット化などが進むなか、業務の大半が対人業務であるフロントの重要性がより高まることは間違いないでしょう。優秀で意欲があり、管理組合から信頼されるフロントが正当に評価され処遇される環境整備が進むものと思います。

マンション管理組合にとっても、そのマンションを知り尽くしたモチベーションも高いフロントに長く担当してもらうメリットは計り知れないほど大きいです。






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ソフトバンクグループ、不動産ビジネス投資傾倒の危うさ

昨年12月国内通信子会社「ソフトバンク(株)」の株式上場での公募割れでケチがついた、ソフトバンクグループ社にまた暗雲がたち込めています。

特に力を入れていた、不動産×テクノロジー(という美名)領域の未上場・急成長ベンチャー企業への巨額投資戦略に綻びが出始め、投資家の眼が一気に厳しくなってきているのです。今後、ユニコーン投資に陰りがでるのは確実でしょう。

整理しておくと、ソフトバンクグループ社(代表者が孫さん)は、中核となるソフトバンク社など事業会社を傘下におく持ち株会社であり、自ら巨大ファンドを運用する投資会社でもあります。

SBG図

今回、同社1号ファンド、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが1兆円を出資する不動産テックシェア・オフィス大手「WeWork」が、巨額赤字と事業計画の酷さで(その後創業者の乱脈経営も発覚)米ナスダック市場への上場が延期となってしまった(第2のアリババとまで言われていたのに)ことが問題の発端です。ソフトバンクグループ社は、資金調達に失敗したWeWorkに更に最大1兆円に及ぶ追加投資・支援やむなしの状況になり、株価下落のピンチに陥っているのです。

米配車サービスのウーバーの上場後株価低迷も含め、投資会社という立ち位置を鮮明にしているソフトバンクグループ社にとり、投資先選別の目利き力に疑問符がつくのは決定的に痛いことです。




その他に1000億円超の出資先である不動産テック系新興企業では、米不動産仲介のCompass社は経営幹部流失という事態に直面し、インド発の格安ホテル・住宅系スタートアップの「OYO」も法規制や習慣の違う海外展開で模索中というところです。

国内の不動産ビジネスを見てもソフトバンクグループ社は、不可解な動きをしています。サブリース主体のアパート建築、賃貸会社「MDI」社と資本提携したり、法令違反で泥沼のレオパレス21をOYOと組んで買収するのではという報道などです。コンプライアンス問題は別にしても、スジの悪い不動産投資戦略に舵を切っているようで驚きます。

OYOは家具家電付きで敷金礼金ゼロの賃貸住宅サービス「OYO LIFE」を始めているので、レオパレス21とはシナジーがあると考えているのかもしれませんが、やはり悪手のような気がします。

◆WeWorkは不動産サブリース業の会社

WeWorkは、テクノロジー企業としての期待で極大化された想定時価総額を半減させてしまいました。結局はテック企業というようなものではなく、新規性も感じないコワーキングスペースを提供する普通の不動産サブリース業の企業だったことが分かってしまったためですが、その前途は厳しいものになるでしょう。

大阪市内でも、WeWorkは幽霊ビルだった20階建て御堂筋フロントタワーの一棟借りで派手なシェアオフィス進出をしましたが、その後の動きは報じられません。今月にはヨドバシ梅田タワー「リンクス梅田」8階に進出しますがあまり話題になっていないようです。共に相当高い賃料を支払っているはずです。

wework大阪所在図

リンクス梅田

立地は抜群でも普通のオフィスより2~3倍割高な、コワーキングスペース業を見栄よりも実利を尊ぶ関西で成功させるのは至難の技だと思います。

規模こそ小さいものの、創業社長が推進した不動産事業領域で悪戦苦闘する「ヤマダ電機」にみるように、安易な不動産事業への進出は極めて難しいものです。進出にあたって、金融の視点で事業を判断してしまいがちになるので成功はおぼつきません。

いずれにしろ、ソフトバンクグループの11月6日午後3時公表予定の2020年3月期第2四半期連結決算発表が注目です。どんな会計マジック(のようなもの)が見れるのでしょうか。






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新築マンション販売9月度、大きく下落

不動産経済研究所から発表された9月の新築分譲マンション市場動向では、発売数が前年同月比首都圏30%、近畿圏24.4%のマイナスと大幅な減少となりました。

特に首都圏は先月の「晴海フラッグ」効果が消え、発売数減少のみならず発売月契約率50%台への急落、しかも台風19号の影響で10月度以降も不透明感が漂うという厳しい状況です。

首都圏近畿圏初月

「不動産業業況等調査結果」(土地総合研究所)の「モデルルーム来場者数(7月1日時点)」急落というデータで、新築分譲マンション市場の減速はありうると思われていたものの予想を超える9月の結果です。

やはり、4月以降のモデルルーム来場者数激減の動きなどから考えると、消費税増税でマンション購入マインドがかなり冷えこんだように感じます。

モデルルーム来場者

また、ここへきてのタワーマンション死角露呈の報道も、今後のタワーマンション販売戦線にどう影響するのか気になるところです。

◆近畿圏も発売数・契約戸数共に前年比半減の大幅悪化

首都圏ほどではないにしても、近畿圏も9月度は惨憺たる結果でした(75.7%という契約率は投資用などで嵩上げされたもの)。実需向けは前年比発売数も契約戸数もほぼ半減しました。
・発売数(1K~1LDK除く)・・・757戸(前年同月1,457戸)
・契約数(1K~1LDK除く)・・・511戸(前年同月1,099戸)

価格帯別でのグラフを見ても、前年9月に比べて特にボリュームゾーンである一次取得層向け3,500万円~4,500万円の物件の発売月契約戸数が落ち込み、売行き不振が深刻です。

価格帯別

価格帯別契約率の線グラフの方は、前年同月より少し悪い位で推移していますが、発売数を半分に絞り込んでやっとこの契約率を維持では、かなりマズイ状況といえるでしょう。

新築分譲マンション市場(投資用除く)の勢いは、初月契約率だけでなく初月(発売月)契約戸数を見る事が重要と思いますが、今年は契約戸数500戸前後で終わる月が多いようです。目玉物件の発売月だけ盛り上がるパターンは、苦しい展開です。

初月契約戸数

近畿圏9月度指標。9月も投資用が全供給数の46%を占めるといういびつな構造は変わらずのため、1戸当り価格や1㎡当り単価の変動もあまり参考になりません。

タイプ別円グラフ

・発売戸数   1,406戸(前年同月比24.4%減)
・契約率    75.7%(前年同月比2.9ポイントアップ)
・1戸当り価格  3,448万円(前年同月比14.7%ダウン)
・1㎡当り単価  69.0万円(前年同月比8.5%アップ)

ファミリー向け

9月は、2LDKタイプの物件が珍しく121戸も発売されました。価格抑制のため専有面積小さめの物件が増えそうです。






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