関西の中堅不動産会社「日住サービス」

レオパレス21の施工不備問題や大和ハウス工業の中国関連会社巨額横領など、不動産会社の不祥事が頻発しています。ただ、レオパレスの強引な営業や建物の粗悪さは何年も前から言われていたことです。大和ハウスの件も、住宅・建設メーカーの営業至上主義で内部統制が弱い組織風土により起こるべくして起きた事件です。

そういう事件と違い、不動産関連ニュースで大いに驚いたのは東証二部上場の中堅不動産会社「日住サービス」の新社長人事でした。なんと住友不動産販売出身者が新社長に就くということです。この2社は昔、敵対関係にあったのです。

代表取締役の異動に関するお知らせ:ニュースリリース)

◆住友不動産販売と日住サービスは因縁の相手

日住サービスは、昭和51年に銀行出身の新名紀夫氏が創業した会社で、40年以上前の旧態依然とした仲介業界に、新しい発想を持ち込み事業を展開しました。デジタル全盛の今も廃れない、マンション等へのチラシポスティングという販促手法を始めるなどしていたはず。

一方、住友不動産販売の不動産売買仲介業への進出は昭和54年と他社よりかなり遅いもので、業界参入にあたり、社員(=ノウハウ)の引き抜きがあったか否かで日住サービスと係争になったりしていました。今では仲介売上高で何十倍もの差がある2社ですが、そんな歴史をもつ因縁の相手です。

沿革の一部

チラシポスティングは、今や住友不動産販売の代名詞(?)のようになっていますが、不動産流通業に進出以来こだわり続けている販促のキーであり、おそらく今後も販促の中心であり続けていくと思います。

◆不祥事続いた日住サービスは復活するか

京阪神の地元に密着する日住サービスも、2018年は無許可業者への産業廃棄物処理委託や不正経理など不祥事が続きました。しかし元経理部長による会計不正に関しては、著名な弁護士中心の第三者委員会を設置して事実究明を行い、その調査報告を受けての対応策もしっかり明示したりする誠実な危機管理は立派だと思います。今回の社長人事も、悪い流れを断ち切るという会社の強い意志を感じます。

日住サービスの平成30年12月期のセグメント別売上高でみても、やはり不動産仲介(手数料収入)がメインの会社です。関西の不動産流通市場を知悉している人材が、新たな社長としてテコ入れすれば、やや低迷している仲介部門にどんな化学変化が起こるか注目です。

日住サービスセグメント別売上

元経理部長による会計不正に関する第三者委員会の調査報告によると、犯行に至った動機として「自分はステイタス(取締役経理部長)の割には報酬が低い」というのがあったそうです(年収約1,000万円)が、なるほどと思ったのは「経理や財務がわからない経営陣ばかり」との記述です。

これは日住サービスに限らず経営陣含む全社的な会計への知識・理解不足は、不動産会社全般に共通する問題なのになかなか改善されそうにありません。

いずれにしろ、日住サービスの今回の第三者委員会による調査報告書は、率直かつ客観性があり良い報告書です。

(第三者委員会の調査報告に関するお知らせ)






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中古マンション成約価格、上昇続く(近畿圏)

中古マンションの成約価格上昇が続いています。高騰しすぎた新築分譲マンションから、比較的手ごろな価格の中古マンションに需要がシフトするのは当たり前かも知れません。

国土交通省が取引事例をもとに作成する最新の不動産価格指数(住宅)では、横ばいが続く「戸建て」と「宅地」に比べ、緑色線の「マンション」指数が2013年以降急激な上昇をしています(2010年=100)。

マンション指数だけが急激に上昇している原因は、震災復旧の本格化や東京五輪整備に伴う資材不足と労務費上昇による建築コスト高騰です。建築コストの上昇で新築分譲マンション価格が上がり、新築価格と連動する中古マンション取引価格も上がっている訳です。

不動産価格指数

◆近畿圏でも中古マンション成約価格は上昇継続中

近畿圏でも中古マンション成約平均価格上昇が続き、特に平均㎡単価が顕著に上昇しています。

過去2年グラフ

下表は、2019年1月の近畿圏の成約マンションデータ中、大阪市都心3区だけ抜き出したものです(専有面積40~80㎡。近畿レインズ)。近畿圏全体の成約平均価格は2,395万円と低いですが、大阪市都心3区に限ると平均価格も平均㎡単価もかなりの高価格で取引されています。

大阪市都心3区

ざっくり言うと築20年のマンションは新築価格から40%程度は下がっているものと思いますが、中央区の事例では平均築年数20年で坪単価約200万円と近畿圏平均の倍近い数値です。
ただ、木造ならゼロに近い査定になる築20年の建物も、RC造の分譲マンションであれば管理組合が適切に大規模修繕などメンテナンスをするので、居住性能に問題はありません。

中古マンション価格上昇は持続する

木造住宅はプレカット工法により現場はほぼ組み立てだけになり、工期短縮とコストカットが進んでいます(大工さんも減)。
しかし、マンション(RC造)建築は、配筋工や型枠工など熟練大工なくして成り立ちません。ただ、そういった人材は簡単に増やせないので、おそらくオリンピック後もマンション建設の労務費の高止まりは続く可能性大です。

今後の中古マンションについては、新築分譲価格が下がる要素が少ない反面、需要面では子育て世代や高齢者中心に、生活利便施設が集積している都心部への居住ニーズがより強まることから、価格は強含みで推移すると思います。

市街地中心部の駅近中古マンション(新築より立地の良い物件もあり、価格もリーズナブル)は、今後も選ばれ続けるでしょう。






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住友不動産が首位、2018年マンション発売数ランキング

住友不動産が、2018年(1月~12月)の事業主別新築分譲マンション供給数ランキングで5年連続No1(全国と首都圏)となりました。

住友不動産の発売数は、全国7,377、首都圏6,211と圧倒的な戸数で2位以下に大差をつけて断トツの1位でした(不動産経済研究所)。
総戸数1.539戸のシティタワーズ東京ベイなど都心・湾岸タワーマンションと郊外大規模物件という同社の強みの大型物件が牽引したということです(同社ニュースリリース)。

下表はランキングです。色のついているのは近畿圏主体に分譲する事業主で、関西電鉄系不動産会社2社以外の3社は都市型マンション主体です。

ランキング表

住友不動産の好調ぶりは発売数だけでなく、販売状況にも出ています。第3四半期で既に当期予定分の契約数を確保し翌期分の契約が3,000戸超という契約ペースは、製造と販売の好循環サイクルが生まれているということです(平成31年3月期第3四半期決算短信)。

また、大阪市内に総戸数854戸の48階建て超高層タワーマンション「シティタワー大阪本町」着工というニュースがありましたが、2019年も住友不動産の全国発売数首位は揺るがないでしょう。

全国2位は関西地盤のプレサンスコーポレーションが、野村不動産などの大手マンションデベロッパーを押しのけて2年連続の2位となっています。
懐妊期間の長い再開発大規模物件が多い住友不動産とは対照的に、プレサンスコーポレーションはワンルーム(1K)マンションなど中小型物件短期回転型事業モデルの会社です。超低金利の不動産投資環境やホテル用地など異業種との競合のない用地取得環境などが追い風になっていると思います。

◆地面師詐欺にあった積水ハウスはランキング急降下

発売戸数ランキングで注目は、東京五反田の土地詐欺事件で約55億円を地面師に騙し取られたことで、昨年大いに話題になった積水ハウスです。2017年の9位から今回17位に急落です。

事件の舞台になった東京マンション事業部の無責任さ、社長に過度の忖度をする組織風土、経営陣の醜い人事抗争などが露わになり、詐欺被害額の何倍にも相当する企業イメージのダウンとなりました。関西では影響が少なくても、首都圏ではしばらく逆風が続きそうです。

◆近畿圏は9年連続でプレサンスコーポレーションがNo1

近畿圏の供給数ランキングでは、プレサンスコーポレーションが独走で9年連続近畿圏第1位(全国ランキングは2位)となっています。近畿圏ではワンルーム規制が緩いため、2位の日本エスリード、3位の日商エステムと1~3位を都市型マンション(投資用)主力の事情主が占めています。

近畿圏ランキング

プレサンスコーポレーションは都市型(投資用)マンションのイメージが強いのですが、郊外部でのファミリー型マンションの供給も目立って増えています。関西では、マンション用地取得や着工のニュースはプレサンスコーポレーションがらみが圧倒的に多く、2019年も近畿圏分譲首位は間違いありません、

近畿圏ランキングに出ている和田興産は、神戸を地盤とする地域密着の中堅マンションデベロッパーです。
なお近畿圏ではベスト10に入っていない、「シエリア」ブランドの関電不動産開発がかなりの勢いでマンション開発をしており(最近京都嵐山でも見かけでびっくりしました)、2019年通年では相当上位にランクアップするものと思います。






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