SREホールディングスの決算に想う

昨年12月東証マザーズに上場したSREホールディングス(旧ソニー不動産。以下「SREHD」)の2020年3月期の決算(連結)が発表されました。売上高3,850百万円、営業利益693百万円、経常利益717百万円、純利益473百万円で着地です。

3Qまで売上高が伸び悩むなか決算説明資料によると、仲介手数料25百万円の大型仲介契約や一棟収益マンション「スマートホーム」の売却価格アップという離れ業で、第4四半期(2020年1~3月)に全体の約40%の売上を確保するという驚異的な追い込みをみせたようです。

それでも、コロナ禍で経済活動に深刻な影響が出始めていた2月14日に開示(業績予想の上方修正)した、売上高4,103百万円には届きませんでした。

今回のSREHD社の決算に関する資料などで、不動産事業のうちの祖業でもある不動産仲介が今だに、軌道に乗っていないと感じました。

同社不動産事業(仲介と収益マンション施工販売)は、全売上高の83%(約32億円)を占める基幹事業ながら営業利益は138百万円に過ぎず、特に仲介は手数料収入2,017百万円ながら、営業利益はわずか8百万円となっています。

売上営業利益

それでも期待のAIクラウド&コンサルティングセグメントはまだ売上規模が小さく、どこまで市場が拡大できるかもやや不透明で、当面売上高の大半を不動産セグメントに頼る展開が続くでしょう。
2019年3月期と2020年3月期の売上高構成グラフ。

売上内訳

◆SREHDの仲介の立て直しは極めて難しい

SREHDの2020年3月期の仲介は冴えない結果でしたが、来期はより悪化し大幅な減収減益かつ赤字計上見込むという悲観的な見通しとなっています。

一方仲介大手は、三井のリハウス、東急リバブルや野村不動産アーバンネットなどは都内中古マンション活況を追い風に取扱件数や営業利益を順調に伸ばしました。コロナ禍の3月はいち早く営業自粛・在宅勤務に切り替え、既契約分の決済・引渡し業務に専念していたのではないかと思います(住友不動産販売は減収)。来期も極端な落ち込みは予想していないようです。

SREHDは仲介で試行錯誤が続くものの、手の打ちようが無くなってきていのではないか(大口仲介に賭ける?)と思ってしまいます。、

昨年2019年の中古マンション市場は、国土交通省発表の中古住宅の販売量指数(2010年=100)でみても活況で、売買契約件数は増え価格も上昇と仲介業者には願ってもない追い風が吹いていました。

関東マンション指数グラフ

そんななかで、SREHDは6年続く好調な市況の波に乗りきれていません。今の事業戦略のままでは、アフターコロナでより厳しくなる仲介市場で浮上を期待するのは酷です。

同社は今後(最近の親会社ソニーと同じく)、市況に左右され安定しないフロービジネスの仲介や不動産販売中心の事業運営から、徐々にストックビジネスに軸足を移していこうとしていると感じます。

AIクラウド&コンサルティングの成長を待ちつつ、不動産セグメントはAIFLATの施工・販売や大口仲介で時間を稼ぎながら不動産証券化や投資運用業にソフトランディングしていくのを企図しているのでしょうか(難易度は高い)。

いずれにしても、親会社ソニーがこの子会社の株式上場で再評価益と売却益合わせ営業利益173億円を計上しましたが、上場は親会社のためだったと言わせないためにも、SREHDはこの端境期をうまく乗り切ることが重要となるでしょう。

言わずもがなですが、投資はくれぐれも自己責任で。






カテゴリー: 不動産 | SREホールディングスの決算に想う はコメントを受け付けていません。

近畿マンション市場4月、コロナ禍で発売戸数は激減

近畿の4月新築分譲マンション市場は、発売戸数が42%減の494戸とバブル崩壊時以来の低水準となりました(不動産経済研究所)。

それでも新型コロナウィルス禍で多くのモデルルームが営業自粛・閉鎖となるなか、この程度の減少で済んだのかと思いました。しかし、これは前年同月比のマジックで、前年4月は大幅増だった3月の反動減で発売数が852戸に急減した月でした。感覚的には例年に比べ60%程度減少という位がしっくりくる数字でした。

なお、4月はワンルームマンションなど投資用の戸数が、全体の4割近く(188戸)を占めそれを除いた発売戸数は、僅か306戸だったことにも注意が必要です。

新築マンション市場の売れ具合の指標は初月契約戸数です。それが消費税増税により昨年8月以降(12月を除き)前年比で大幅減となる月が続いていました。この状況でコロナショックが重なるということで一段と厳しい市況となってきています。

売れ行き

4月以上に厳しい5月の発売数は、前年比70%~80%位減少するかもしれません。対面営業なしでマンション購入は考えにくいので契約率も厳しい結果になるでしょう。
実需向け物件の発売戸数と初月契約率グラフ(前年比)です。

実需戸数と契約率

発売数が大きく絞られると契約率は極端に落ちない(契約戸数は減っても)のは、住まいを必要とする最低限の需要が存在するからです。平常月とはかなり様相が異なる4月の価格帯別初月契約戸数と契約率グラフ。

価格帯別

コロナの問題で首都圏は、過去最大の落ち込みで686戸(ワンルーム等含む)の供給となり、これだけ大幅な発売減となると、さすがに実需向けの契約率は大きく上昇です。首都圏と近畿圏の(ワンルーム系コンパクト型を除外)の初月契約率推移。

首都近畿初月契約

◆近畿圏2020年4月度の指標

不動産経済研究所発表のデータです。今月もワンルームなど投資用物件の発売数が188戸と多いです。コロナ禍で実体経済は大ピンチでも、金融超緩和の金余りで株価や不動産投資には相変わらず資金が流入してきていて、実需向けとは異なる動きをしています。実需の契約率は64%台です。

・発売戸数   494戸(前年同月比42%減)
・契約率    77.9%(前年同月比2.0ポイントアップ)
・1戸当り価格  3,434万円(前年同月比2.3%アップ)
・1㎡当り単価  63.4万円(前年同月比3.6%ダウン)

5月は非常事態宣言もあり4月よりも少ない、首都圏500戸近畿圏300戸という発売予測なので前年比80%減位の記録的な減少になりそうです。






カテゴリー: 住宅市場動向・統計 | 近畿マンション市場4月、コロナ禍で発売戸数は激減 はコメントを受け付けていません。

新設住宅着工戸数、近畿の3月は投資用増加か

2020年3月の新設住宅着工戸数は,70,729 戸(全国)で前月2月比では12%の増も、前年同月比では7.6%の減少となりました。前年比で持家,貸家及び分譲住宅の総てが減少したためです(国土交通省)。

3月の住宅着工に関し新型コロナの影響はそれほど大きく出ていないように見えます。本格的な悪影響は4月以降に出るのか、あるいは相対的に小さい影響で済むのかは4月の結果でわかるでしょう。身近なところでは注文住宅の一戸建てが普通に着工しているので、少なくとも個人向けはさほど深刻な落ち込みにはならない気もするのですが。

住宅着工テキスト

個人向けはともかく、大手ゼネコンの大型工事が止まったり部品調達の遅れなどで分譲マンションの着工はやはり今後若干影響がでてきそうです。

◆大阪はワンルームの着工戸数が1月と3月大幅増?

近畿の2020年3月における新設住宅着工戸数は、11,646戸で前月比6.1%増、前年同月比は0.2%の増でした。

そのうち分譲マンションの着工戸数は、2,296戸で、前年同月比4.7%減(前月比較では18.1%減)となっています。

近畿の分譲マンション着工戸数の大部分を占める大阪府のデータが下図です。販売状況は芳しくないものの、先送りされていた新規のマンション着工が昨年秋から明らかに増えてきています。3月は1,656戸の着工でした。

大阪府戸数と前年比

ただ、堅調な着工数の内容はやや問題で、3月の大阪府の分譲マンションの新設着工住宅総床面積は、前年同月に比べ21.5%も減少しています。前年同月とは着工戸数がほぼ同じ位だったにもかかわらずです。

・2019年3月
  着工1,686戸、床面積118,185㎡(一戸当り平均70.1㎡
・2020年3月
  着工1,656戸、床面積92,751㎡(一戸当り平均56㎡

一戸当り平均面積は総床面積(玄関ホール、エレベータホール、階段、廊下、管理人室など共用部分も含む)を単純に着工戸数で割って算出したものです。従って3月に着工した大阪府の分譲マンションのかなりの部分が、専有面積20㎡程の投資用ワンルームマンションの住戸だった可能性が高いことになります。

大阪では1月も戸当たり平均床面積が44.1㎡!と、着工数707戸のうちの相当数がワンルームタイプだったと推測されます(2月は着工2,293戸で平均床面積76.3㎡)。

これらの物件の販売が始まる1年後、コロナ大不況が到来していても実需低価格帯マンションの需要がそれほど落ち込むことはないものの、不動産投資需要がどうなっているかは全く読めないと思うのですがどうなんでしょうか。






カテゴリー: 住宅市場動向・統計 | 新設住宅着工戸数、近畿の3月は投資用増加か はコメントを受け付けていません。